ロッテ3位指名の東洋大・一條力真が吐露した苦悩の4年 「もし高校からプロに行っていたら、今ごろクビになっていたかも......」 (2ページ目)
早くも端正なルックスが話題になっている一條力真 photo by Kikuchi Takahiroこの記事に関連する写真を見る
【今の力で通用するほど甘くはない】
秋のリーグ戦は6試合に登板し、防御率0.00。有終の美を飾ったかに見えたが、やはり一條のなかで納得のいくボールは投げられなかったという。
「練習ではスムーズに投げられて、リリースがバチッと決まる日もあるんです。でも、公式戦になって力が入ると、変な感覚になることもあって」
インタビュー中、高校時代よりも右腕を振る位置が斜めになっている印象を伝えると、一條は「やっぱりそう思いますか?」と身を乗り出してきた。普段は質問に対して淡々と答える一條だけに、逆質問してくるのは珍しい。本人のなかでそれほど切実な問題ということが伝わってきた。
一條は、こんな思いも語っている。
「誰かに(腕の振りを)下げろと言われたわけでもないですし、自然と下がっていったのだと思います。でも、自分としては高校時代みたいに上から投げたいんですよね。上からしなやかに、叩くようにリリースしたい。150キロ後半から160キロに届く、伸びるような真っすぐを投げて、手がつけられないピッチングをするのが理想ですね」
一條が思い描く「理想」がかなったら、おそらくプロの一軍クラスどころか、侍ジャパン級の存在になっていることだろう。それは、この逸材に夢を見たすべての人間にとっての悲願でもある。
一部報道によると、一條は「即戦力リリーフ」として高い期待を受けているという。ドラフト3位指名の22歳ならば、必然的な期待なのかもしれない。
それでも、一條は「急がば回れ」の精神でプロの世界に挑もうとしている。
「即戦力と思っていただけることはうれしいんですけど、自分のなかでは今の力で通用するほど甘くはないと考えています。特にフォームはもっとよくなると思うので、スタートから焦らず取り組んでいきたいです」
悩み続けた4年間。その過程だけを見れば、高卒でプロに進むのではなく大学進学を選んだのは英断に思える。そんな感想を伝えると、一條は笑ってこう答えた。
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