江川卓同様、川口和久は得点圏にランナーが進むと三振を狙い、奪三振王のタイトルを3回獲得した (2ページ目)
【手のひらの使い方が重要】
初速と終速の差が小さいほど、ボールの落下幅が小さく、伸びているように見えると思っている人は多かったのではないだろうか。ただ実際は、初速と終速の差というより回転数がボールの伸びと起因している。ストレートにきれいなバックスピンの回転を与えれば揚力が加わり、浮き上がってくるように見えるというわけだ。
「江川さんの言っていることって、すごくよくわかるんです。ボールを投げる際の一連の動きのなかで、指を含めて手のひらの使い方がものすごく重要になってきます。ボールをリリースする時、最初から指が立っているわけじゃないんですよ。手のひらが上を向いている状態から、手首が立って親指の付け根が前方向にいって、そこから指先でボールを掻くわけです。指の力でグッとボールを押し込むわけだから、当然リリースは前になるから打者は速く感じるはずなんです。だから、手首が硬いと打者寄りでリリースできなくなるので、バッターはスピードを感じづらくなる」
カーブを投げる場合、手首を寝かせすぎてもよくなく、ある程度立っていないとボールはうまく切れない。だから、打者に癖を見破られないようにするため、リリースポイントを一定にする必要があった。
「社会人のデュプロ時代もカーブは投げていましたけど、そこまでの自己分析力はなかったですね。広島に入った時のピッチングコーチの大石(清)さんに、まず手のひらのことを言われました。『親指と小指の付け根のところをしっかり前に出しなさい』って教わったんです。そうすることでリリースが打者寄りになり、ボールを見る時間が短くなるから打ちづらくなると。
とにかく大石さんには『リリースポイントをもっともっと前にしろ』って、よく言われていましたね。そのためには柔軟性をつけないといけないので、開脚して胸が地面につく体操を30分ほどやっていましたね。やっぱり体が硬く、肩の可動域が狭いと、ケガのリスクは高くなります。そういう意識を持って二軍戦で投げながら、だんだんと自信がついてきましたね」
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