阪神ドラ4・町田隼乙が振り返る「捕手失格」から這い上がったBC埼玉での3年間
阪神ドラフト4位
町田隼乙インタビュー 前編
「背が高いですね」。ドラフト後の挨拶時、記者たちの話題は身長から始まった。
高卒3年目、強肩強打の捕手・町田隼乙(21歳/ルートインBCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズ)は、186cm・88kgという恵まれた体格が目立つ。高身長のメリットについて「目立つことです」と笑った町田だが、独立リーグでの3年間は、高身長ゆえに苦しんだ時期もあった。
バッテリーコーチがいないBC埼玉に高卒で入団し、壁にぶつかりながら成長。物質的な苦労がつきものの独立リーグだが、「人」との出会いに恵まれた。角晃多(元ロッテ)、西崎幸広(元日本ハム・西武)、片山博視(元楽天)、由規(元ヤクルト・楽天)、清田育宏(元ロッテ)、辻空(元広島)と、多くのNPB経験者たちに導かれた。町田がそんな3年間を振り返る。
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【高校時代に調査書が4枚届くも、指名漏れで独立リーグへ】
神奈川県には強豪校と言われる高校が多いが、町田が選んだのは光明学園相模原高校だった。
「先輩から話を聞いて、強豪校よりも試合に出られると思って選びました。でも、入ったら部員が100人ぐらいいたんです。最初は『無理だ』と思いました」
監督は日体大などでプレーした、捕手出身の芝崎広之監督。その指導を受け、高校2年からは先輩と競いながらマスクをかぶるようになった。3年時には正捕手になったが、夏は2回戦で慶應高校に敗れた。しかし2021年のドラフト会議を前に、4球団から調査書が送られてきたという。
「自分からしたら、『なんで送られてくるんだろう』と。何もかもが足りないと思っていましたから」
結局、その年のドラフトでは指名されず、2022年にBC埼玉に入団。まったく未知だった独立リーグという道に進んだ。
「自信があったのは肩だけ。でも、BCリーグに入ったらそれがまったく通用しませんでした」
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