ヤクルト奥川恭伸は960日勝利の陰で人知れず苦しんでいた 「どうやって投げたらいいんだろうって...」 (4ページ目)
近藤は2021年シーズン、試合中に右肩を大ケガ。長いリハビリを経て、昨年は二軍で実戦復帰を果たした。今シーズンは3月の春季教育リーグで一度登板するも、その後はノースローの調整が続き、夏にはキャッチボールを再開するも、試合で投げることはなくチームを退団することになった。
奥川は、近藤との関係についてこう語った。
「近藤さんとは大阪の病院にも一緒に行って、交互にリハビリをやって。僕もリハビリが長かったですけど、近藤さんはもっと長かった。野球選手にとって致命傷と言えるほどの右肩の大ケガを乗り越えて投げられるようになって、今年も試合で投げる姿を見たら『近藤さんいける!』と、思っていました。でもまた厳しいことになって......。
近藤さんの気持ちは本人にしかわからないですが、本当にリハビリチームのなかで一番お世話になったので、すごく寂しいですし、悔しいです。神宮のマウンドに立つ姿を、ほかのピッチャーにはそこまで思えないんですけど、やっぱり近藤さんには特別な感情があるので、もう一度投げる姿を見たかったです」
著者プロフィール
島村誠也 (しまむら・せいや)
1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。
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