【ドラフト2024】くふうハヤテの元公務員投手・早川太貴が阪神から育成3位で指名 「新設ファーム球団」が示した意義 (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro

 じつは早川に調査書を送ったのは、阪神1球団のみだった。つまり、ほかの11球団から指名される可能性は限りなく低い。その情報はメディアにも流れていたから、当然各球団のスカウトの耳にも入っていたはずだ。その選手の実力云々以前にそうやって指名順位が決まるものなので、早川の名前がなかなか呼ばれなかったのは、そういうことだ。

 そして、くふうハヤテのほかの選手には調査書すら届かなかった。

 今季、ウエスタンリーグ31盗塁でタイトルを獲得し、リーグ2位の打率.297を挙げた外野手の増田将馬を筆頭に、ウエスタンで5勝、防御率3.18と早川を上回る成績を残した二宮衣沙貴(いさき)、沖縄の興南高校を卒業後にアメリカ留学を選択してカリフォルニア大学アーバイン校で活躍し、メジャーリーグのドラフト候補として名前が挙がった内野手の大山盛一郎、ショートの守備でNPBの若手以上の強肩を見せていた仲村来唯也(らいや)など、ドラフト候補"と呼ばれた選手たちはいたが、彼らはそもそもノーチャンスだった。

「年齢はネックになる」

 その声はありとあらゆるところから耳にしたし、本人たちもそう口にしていた。来年、増田と二宮は27歳、仲村は26歳、大山は25歳になる。

【ファーム新球団が直面した課題】

 また、NPBファーム拡大でイースタンリーグに参入したオイシックス新潟アルビレックスBCからも、下手投げ右腕の下川隼佑(24歳)がヤクルトから育成3位の指名を受けたのみに終わった。下川は今季イースタンリーグでトップの102奪三振を記録していたが、それほど高い評価を得られなかった。さらにイースタンリーグで打率.323をマークして首位打者に輝いた外野手の知念大成(24歳)やリーグ最多20セーブの上村知輝(24歳)には指名がなかったのも意外だった。

 くふうハヤテの池田省吾球団社長は「育成と再生を掲げるなか、育成では早川投手がドラフト指名で阪神へ、再生では先日、西濱投手(オリックス→くふうハヤテ)がヤクルトへの移籍を果たした」と、この球団の意義と成果をあらためて強調した。その一方で厳しい現実も目の当たりにし、「来季以降のチーム編成については、今年と考え方を見直さなければならない部分もあります」とも語った。

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