大手自動車メーカーの内定を蹴ってプロ入り 4年目の大躍進を遂げたヤクルト・丸山翔大は「あの時の決断について話すはまだ早い」 (2ページ目)
ピッチングに関しては先発の役割を与えられたが、「自分が考えていたよりうまくいかなかった」と苦しんだ。
「先発ピッチャーって、ずっと全力で投げることはなくて、『ここぞ!』という時にギアを上げるじゃないですか。自分の場合、長い回を投げるために力を抑えながらやって、いざギアを上げるとなった場面でそれができず、さらにスピードを出したくても出ない状態になっていたんです」
最速は147キロ、平均球速も140キロ前後まで落ちてしまったという。
「じゃあ『最初から全力で』とやってみたのですが、初回から自分の一番速い球を相手に見せてしまうので、2巡目になると打者が慣れてきます。逆に自分は全力で投げているので、徐々にスピードが落ちてくる。2巡目からどう抑えていいのかわからなくなることもありました。先発って、試合の流れに任せてスイスイ投げることもできるし、ここだという場面ではギアを上げて抑えにいく。今はブルペンで(先発投手は)『すげぇ』と思いながら見ています(笑)」
【中継ぎ転向で育成から支配下へ】
丸山にとって3年目となる2023年は、重要なシーズンとなった。
「春のキャンプでは先発という話だったので、去年みたいな感じだったら、今年で終わるんだろうなと。正直、先発では支配下に上がれるイメージが湧きませんでした。そのことをコーチの方に正直に話をさせていただき、そこで中継ぎから入ろうとなった結果、4月29日に支配下登録させてもらうことができました」
その日に一軍昇格し、神宮での阪神戦で初登板を果たすも「緊張して力みまくってしまいました」と、1回2安打2失点とプロの洗礼を浴びた。
「先頭の大山(悠輔)さんに四球を出して、佐藤輝明選手に完璧なホームランを打たれました。中村(悠平)さんはアウトコースに構えたのですが、逆球のインハイの球でした。ファームならファウルをとれたり、打ってこなかったりなんですが、やっぱり一軍のバッターは全然違って、『オレ、これからやっていけんのかな......』って」
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