大手自動車メーカーの内定を蹴ってプロ入り 4年目の大躍進を遂げたヤクルト・丸山翔大は「あの時の決断について話すはまだ早い」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 最終的には22試合に登板し、勝敗はつかず、防御率4.05でシーズンを終えた。オフには田口麗斗の自主トレに参加。一軍で得た経験をもとに、今シーズンへの飛躍へとつなげるのだった。

【二軍抹消中に課題を克服】

 今季、二度の二軍降格を味わったが、そのつど、戸田球場で課題と向き合い、練習を重ねる姿が強く印象に残った。春には真っすぐに次ぐ割合だったスライダーを投げない時期があり、丸山はその理由について明かした。

「その時期のスライダーって、腕が緩みがちだったんです。腕が緩むと打者に(球種が)わかってしまいます、何よりフォームが横ぶりになってしまい、真っすぐが抜けたり、引っかかったりして、フォークもゾーンから外れていくようになってしまったんです。ひとまずスライダーを休ませれば、真っすぐ、フォーク、カーブと全部タテのボールになるので、まずそこを安定させようという意図でした」

 ただ「スライダーを消すのもよくない」と、タテの動きのなかで使えないかと試行錯誤を重ねた。

「ストレートと同じくらい腕を振って、スライダーを投げる練習をしました。曲がらずに"ロケット"のようにスーッと真っすぐいってしまうこともありましたが、腕を振ることが第一なので、それでいいやとやり続けました。結果的に、後半からまたスライダーを使えるようになったのでよかったです」

 二度目の抹消中は、フォークに重点を置いた練習を続けたこともあった。

「フォークは落差の大きいのと小さいのがあって、試合では小さいのをメインに使っていました。ある程度ゾーンにいって、ゴロ率が高いので、よくも悪くも便利なボールになっていました。ただ、中継ぎでは『ここはバットに当てさせたくない』という場面が絶対にあるので、小さいフォークはバットに当たりやすく、ヒットゾーンに飛ぶ可能性もあるし、何が起こるかわからない。そこでもうひとつのフォーク、空振りがとれるフォークを覚えようと。その感覚をつかむために、キャッチボールから(フォークを)投げていました。8月後半から9月に三振の数が増えたのは、しっかり腕を振ってフォークを投げられたことが大きかったですね」

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