大谷翔平の盗塁術を「青い稲妻」松本匡史が分析 「塁間12歩のピッチ走法で、スタートしてからスピードが落ちない」 (2ページ目)
── スピード、スライディングに関してはいかがですか。
松本 これは聞いた話ですが、データ的に大谷選手がトップスピードに乗るまでの時間は、ふつうの選手よりも少し速い程度とのことです。飛び抜けて速いわけではないのですが、スタートがよく、中間疾走の形もいい、そしてスライディングも速い。要するに、大谷選手はスタートしてからスピードが落ちない。それが59個も盗塁できた最大の要因だと思います。
【スタートを切れることに意義がある】
── よくメジャーの投手は、クイックが甘いと言われます。それにベースが日本よりも3インチ大きく、塁間は15センチほど短い。またメジャーでは、2023年からけん制球はプレートを外す行為も含めて1打席につき2球まで(3球目を投げてセーフの場合はボークで進塁)とするルールが採用されています。
松本 たしかに日本のプロ野球を見ていても、クイックの甘い外国人投手は多いです。しかし、なかにはクイックがうまい外国人投手もいますし、日本人でも苦手な投手はいます。それはメジャーも同様で、みんなクイックが甘いとは一概には言えないと思います。当然、簡単に走られたくないでしょうし、そのための努力はやっているはずです。そのなかで大谷選手は、スタートする技術を身につけたり、相手のクセを読んだり、研究している。「メジャーだから......」と言う人はいますが、私はスタートを切れることに大きな意義があると思っています。大谷選手はホームラン打者のイメージが強いですが、あの足を見せられたら相手バッテリーは「走者・大谷」にも気を遣わないといけない。ほんと大変だと思います(笑)。
── 「青い稲妻」の松本さんから見ても、「走者・大谷」は関心を引いていたわけですね。
松本 一、二塁間の距離は27.431メートル。身長180センチの私は、リードしてから11歩半でスライディングに入っていました。だから193センチの大谷選手は、10歩半か11歩かなと思っていたのですが、逆に11歩半から12歩ぐらいでした。つまり、歩幅の広い"ストライド走法"というよりも、回転が速い"ピッチ走法"と言えるでしょう。
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