【現役引退】西武・増田達至が後輩たちに贈るメッセージ 「1日を悔いなく...」球団最多の194セーブ (2ページ目)
輝かしいキャリアを歩んだ増田が「最も印象的なシーン」と振り返り、ファンの記憶に強く刻まれているのは2019年9月24日、リーグ連覇を決めたロッテ戦で胴上げ投手になったことだ。
「誰しもが経験できることではないので本当にうれしく思いますし、一生の思い出にもなりました」
プロ入り7年目の2019年は、増田にとってキャリアの分岐点となった。前年の2018年、チームが10年ぶりのリーグ優勝を果たした一方、自身は41試合で2勝4敗14セーブ、防御率5.17と苦しんだからだ。
その翌年に65試合で4勝1敗30セーブ、防御率1.81と巻き返した理由について、今年9月27日の引退会見で増田はこう振り返っている。
「2018年のオフに小野(和義)コーチが就任して、秋のキャンプからずっとつきっきりで指導していただきました。間の取り方や、自分のペースで投げるような指導もしていただいて、自分のフォームにはまったというんですかね。本当に感覚もよくなりましたし、投げていて納得のいくボールが増えました。若い子たちもどんどん投げていって、自分の感覚やフォームが体に身に染みついてくれればと思います」
増田がこの頃に見直したのは、投球フォームだけではない。大きな壁にぶち当たったことで練習への姿勢をあらため、以降、いっさい手を抜かずに取り組み始めたというのだ。
「そうなったのはたぶん、歳をとってきてからですね。本当に成績が出なくなった年もあった時に、練習からもう一度、イチからしっかりやろうと思いました」
直面する壁を乗り越えるには、何かをあらためなければならない。増田が年齢を重ねる過程で見つめ直したのは、練習と試合の位置づけだった。
「やっぱり、走れなくなったら終わりだと思っています。そこはずっと意識して、練習のなかで重点を置いています。練習自体を試合の準備だと思い、しっかり取り組んでいます」
20メートル走を行なう場合、必ず最後まで駆け抜ける。もし17メートルで力を抜いても、たった一度なら些細な違いかもしれない。だが何十本、何百本、何千本と積み重ねたとき、大きな違いになってくる。
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