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巨人が4年ぶりのV奪回を果たせた要因は? 伊原春樹が「阿部采配」を総括 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── また今季は捕手3人制も機能しました。

伊原 そこに関しては、さすが捕手出身の監督です。よく観察していたと思います。打撃のいい大城、守備力に定評のある岸田行倫、菅野とのコンビで多くの貯金を稼いだ小林誠司。なかでも岸田は粘り強いリードで投手陣を引っ張り、打つほうでもしぶといバッティングを見せました。彼の成長は大きかったですね。

【ターニングポイントは?】

── 結果的にターニングポイントになった試合はどこと見ますか。

伊原 9月10日からの広島3連戦での3連勝でしょう。先述したように、初戦は勇人が森下からホームラン。2戦目は2点ビハインドの9回に、広島の守護神・栗林良吏から6点を奪うなど、この回9点を挙げて勝利。3戦目は、抑えの大勢が今季初めて"イニングまたぎ"をして5対0で快勝しました。この3連勝で広島に引導を渡したといっても過言ではないと思います。

── 9月23日の阪神戦では、中4日でフォスター・グリフィン投手が先発して勝利しました。

伊原 阪神は前日の試合に勝利して、ゲーム差1に詰め寄ったのに、この試合に敗れて再び2ゲーム差になりました。巨人にとっては、連敗だけは避けたいところでグリフィンが頑張りました。ローテーションを崩してまで、首位攻防の阪神戦に好調な投手をぶつけた。選手も「ここが勝負どころ」と理解して戦ったのではないでしょうか。

── 阿部監督は就任1年目でリーグ優勝を果たしましたが、伊原さんも2002年に新人監督ながら西武を優勝に導いています。やりづらさはなかったですか?

伊原 私も(阿部)慎之助も長い間コーチを務め、チーム事情を把握していましたので、新人監督とはいえやりづらさというのはなかったです。今シーズンに関して、私は開幕前から巨人と阪神の一騎打ちになると見ていました。阪神の岡田彰布監督も「相手は巨人です」と断言していました。捕手として修羅場をくぐってきた阿部監督を警戒していたということでしょう。

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