星野伸之から見るオリックスは「バランスが崩れていた」 逆転Aクラス入りへのポイントも語った (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【先発ローテのやりくり、森や杉本もカギに】

――8月17日の日本ハム戦では宮城投手が7回無失点と好投し、久しぶりの4勝目。また、育成出身の2年目・才木海翔投手は16日の日本ハム戦でプロ初先発し、5回1失点と好投と明るい材料が少しずつ増えてきました。

星野 そうですね。ただ、才木や齋藤、佐藤、髙島といった若いピッチャーには「9回まで投げてくれ」とは言えないので、5回、6回まで頑張るという感じにはなります。なので、彼らが投げる試合ではリリーフの枚数がどうしても増えるのですが、長いイニングを投げられる宮城の次の試合は若いピッチャーを先発させるなど、先発ローテーションの順番をやりくりしていく必要があります。

――CS圏内である3位のロッテまで8ゲーム差。ここから巻き返していくためのポイントは?

星野 宮城、アンダーソン・エスピノーザ、田嶋大樹、曽谷龍平の4人がクオリティ・スタート(先発投手が6イニング以上を投げ、自責点3以内に抑えること)の試合をいかに作れるかでしょうね。バッターでは森友哉がカギです。最近は完ぺきなホームランも出始めましたし、甘い球を捉える確率が上がってきた印象です。好調を維持していますから、彼の前にいかに走者をためられるかが重要です。

それと、(8月18日の)日本ハム戦で杉本裕太郎が2打席連続本塁打を打ちましたが、彼が乗ってくるとベンチが盛り上がり、チームに勢いが生まれます。森の後ろで存在感を発揮できるようになってくれれば打線に厚みが生まれ、森と勝負せざるをえない状況になりますからね。

――Aクラスに入るためには、連勝が必要です。

星野 残り試合が少ないですからね。大型連勝が必要になりますし、他力本願になってしまいますが他チームの状態にも左右される状況かと。とにかく、まずは勝率を5割にしないとAクラスは見えてきません。

ただ、ここにきてやっと投打がかみ合い始めましたし、昨年強かった時のような試合運びも見られるようになってきました。バッター陣には、今まで打てなかった分を挽回してほしいですし、ピッチャーに勝ちをつけてあげてほしい。全員で意地を見せてほしいですね。

【プロフィール】

星野伸之(ほしの・のぶゆき)

1983年、旭川工業高校からドラフト5位で阪急ブレーブスに入団。1987年にリーグ1位の6完封を記録して11勝を挙げる活躍。以降1997年まで11年連続で2桁勝利を挙げ、1995年、96年のリーグ制覇にエースとして大きく貢献。2000年にFA権を行使して阪神タイガースに移籍。通算勝利数は176勝、2000三振を奪っている。2002年に現役を引退し、2006年から09年まで阪神の二軍投手コーチを務め、2010年から17年までオリックスで投手コーチを務めた。2018年からは野球解説者などで活躍している。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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