星野伸之から見るオリックスは「バランスが崩れていた」 逆転Aクラス入りへのポイントも語った (2ページ目)
【今年の山下舜平大が打たれる理由と改善策】
――山下投手はオフにひとまわり体が大きくなりましたが、星野さんは当初からその影響を注視されていましたね。
星野 僕はそこまでウエイトトレーニングをしたことがないですし、体を大きくすることでいいピッチングができるかどうかはわからない部分もあるのですが、筋肉をつけていい部分とつけないほうがいい部分が、おそらく、あるはずなんです。そのあたりは中垣征一郎巡回ヘッドコーチらが気をつけて見ているとは思いますが。
――ピッチングで気になるところは?
星野 今季初勝利を挙げた日本ハム戦ではある程度改善されていたのですが、基本的に真っすぐが高いです。狙って高めに投げているというよりも"抜けて"しまっている感じ。バッターに高めを振らせることができればいいのですが、なかなか振ってくれませんし、緩急がついてる感じもしません。フォークやカーブを引っかけてしまうこともけっこう多いですね。
球が高い要因として考えられるのは、体を大きくしたことが影響しているのか、上体が少し高いのかなと。それと、腕を振って前でボールをリリースしようとしているのはわかるのですが、腕が少々横振りになっている。だから150キロ台中盤の球速が出ているわりに、見切られるし当てられてしまうんです。
――体が変化すると、いろいろな部分が変わってくる?
星野 そうですね。思ったところでボールをリリースできないと、マウンドからホームまでの18.44mの距離で、バッタ―は「リリースポイントが変わったな」とすぐにわかると思うんです。そこでリリースポイントが見やすくなったならば、「球は速いけどなんとかなりそうだな」という感覚にもなると思います。
――解決策として考えられることは?
星野 ある程度、球数を投げることによって"投げる体"になっていくはずです。たとえば、マラソン選手でもブクブクとした体では42.195kmを走れないじゃないですか。たくさん走ることで体が絞られて、走れる体になる。僕らが現役の頃は投げ込むことで「型」を作り、投げる時の「バランス」を養っていきましたが、今はそこまで投げ込むことはないですからね。
でも、投げる数を増やすことによって、投げる動作に合った体にはなっていく。そのうちに「体のこの部分が邪魔だな」とか気づくこともあるかもしれません。
――日本ハム戦で投げる姿を見て、春先に比べてだいぶスリムになったようにも見えました。
星野 投げる時のバランスは今季のなかではよかったと思いますし、そういった体の変化がいい方向に作用した可能性はあります。試合序盤は制球を乱していて、修正点はまだまだあると思いますが、このピッチングをきっかけに自信を取り戻せればいいなと。何よりも1勝できたことが、精神面ですごく大きいと思います。
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