山本昌が今季の中日をズバッと解説! 中田翔加入効果と戦力充実のリリーフ陣を分析! (3ページ目)

【救援陣はかつての"投手王国時代"を上回る充実ぶり】

 ピッチャー陣は安定しています。これは昨季もそうでしたが、先発にはしっかり球数を投げさせる作戦をとっているんです。ビハインドだからすぐ変えようとか、リリーフ陣がいいから早く変えようとかではなく、先発には最低100球は投げてもらう。この方針が、シーズン通して安定感あるリリーフ陣を形成できている要因かなと思います。

 リリーフに関しては、他のチームも羨む陣容ですよ。絶対的な抑えのライデル・マルティネス投手がいて、その前に清水達也投手や松山晋也投手、藤嶋健人投手に勝野昌慶投手、左腕では齋藤綱記投手がいてと、勝ちパターンのローテーションが組めるぐらい人数は揃っていますから。

 強いていうなら、先発が早いイニングでマウンドを降りた後のピッチャーが足りないぐらいでしょうか。大差で負けているときに、勝ちパターンを使わなければいけない試合もあったので。でもそれぐらい調子のいいピッチャーばかりなんです。勝野投手はやや調子を落としているんですが、状態を上げてくれればより鉄壁の布陣になります。

 清水投手は、昨季セットアッパーを経験したなかで、終盤は不調で2軍落ちもしましたが、今季はコントロールが安定していますね。球種割合の8割が150キロを超えるまっすぐと落差のあるフォークの2種類。そこにスライダーやカーブを交えるスタイルですが、さらにストライクを安定して取れるようになったら、なかなか打てないと思いますよ。

 右内転筋損傷から復帰した藤島投手もマウンド度胸がありますし、いつでもストライクが取れる。多少のビハインドや同点、リードしている場面でもいいピッチングをしてくれる安心感があります。これほどピッチャー陣が揃っていると、相手チームも焦るんじゃないでしょうか。

 というのも、私が現役の頃は岩瀬仁紀とサムソン・リー、落合英二(現投手兼育成コーチ)にソン・ドンヨルという4枚の勝利の方程式が構築されていて、相手チームに「6回ぐらいになると焦るんだよね」「この後、点取れないなぁ」と言わせるほど強力なリリーフ陣でした。

 浅尾拓也(現・2軍投手コーチ)と岩瀬の鉄壁の2枚の時代もありました。要はこれに近い、もしくは上回るほど相手に恐れられる、それぐらいの質量をいまの投手陣は持っているんじゃないかと。僕はそう感じているんです。

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