DeNAが戦力外となった3選手を獲得した理由 河原隆一プロスカウティングディレクターが語る判断基準 (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi

 昨今のトレード成功例は、2022年7月にDeNAと楽天の間で実現した伊藤裕季也と森原康平のケースだろう。伊藤はDeNAで内野手として、森原は楽天でリリーフとして確固たる立場を築けていない状況にあり、互いに層を厚くしたいという意図により成立したトレードだった。

「ウチとしては伊藤を何とかしたいという思いもありましたが、ほかの選手との兼ね合いもあり、なかなか難しい立場にありました。一方、当時はリリーフ陣の厚みを増したいという編成上の狙いもあって、そこで伊藤と森原のトレードが成立したんです。その後、森原はクローザーを務める大活躍をし、伊藤も楽天で出場機会が増えました。ウチに来てくれた森原の活躍はもちろんですが、トレード先で出場機会を得て戦力になっている伊藤の活躍も我々としては非常にうれしく思っています」

 その後もDeNAは、中日との間で京田陽太と砂田毅樹、ヤクルトとの間で西浦直亨と阪口皓亮のトレードを成立させている。

「環境が変われば力を発揮してくれる選手はいます。ただレギュラークラスの選手の獲得やトレードは、よほどのことがない限り難しいものです。また、トレードで獲った選手がすぐレギュラーというのも現実的ではありません。我々としても獲得後にイメージするのは、準レギュラーや、代打や代走といった有力な控え、チームにプラス効果やアクセントを与えられる選手です。ウチにくれば輝けるはず、もしくはもうひと花咲かせてくれるんじゃないかって」

 またチームの主力として期待されるFAの選手に関しては、宣言するまで接触が禁じられているため、シーズン中はいろいろな情報網を使って下調べを続けているという。

「まずはFAの可能性がある選手が、ウチに本当に必要な選手なのかを精査する必要があります。ぜひ獲得したいとなった場合でも、事前にその意思を本人に確認することはできないので、FAするかわかりませんが、いざそうなった時に出遅れるようなことがないように準備だけはしています」

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