ソフトバンク最強リリーフ陣誕生秘話 勝利の方程式「SBM」はいかにして結成されたのか (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

── その後は問題なく活躍してくれたのですか?

高山 シーズンをとおしてナイーブさはありました。「自分の体はすぐに壊れてしまうから......」と弱気になってしまうことがよくあって。そのため、秋山監督には「ファルケンは2連投までで我慢してくれないか?」と伝えました。秋山監督は「3連投できないピッチャーを勝ちパターンに入れたら、リリーフ陣が回らないだろう?」と言っていましたが。当時はそういう時代でした。

── それでもファルケンボーグ投手は、3連投はできないと。

高山 ファルケンが言うには、「2連投なら気持ちも体もいい状態を継続できて、圧倒的な力が出せる。それを証明したら考えてくれるか?」と。実際に2連投までで回してみると、圧倒的な力を発揮してくれました。「3連投はない」という安心感が、ストレスなく彼本来の力を出せた要因になったのかもしれません。彼に「3連投はさせないから」と言った時の満面の笑みは忘れられません(笑)。

── あの剛腕にそんなナイーブな一面があったとは、意外です。

高山 そうでしょう(笑)。ほかにも「イニングの途中からでは投げられない」とか、いろいろと扱いの難しさはありました。ピンチの場面でマウンドに行くと、あの大きな体にもかかわらず手足が震えているんです。そこまで絶望的なピンチでもないのに(笑)。メンタル面は強いとは言えない投手でしたが、能力は抜群でしたから活躍してくれて本当にありがたかったです。

── 2010年にはリーグ最多の39ホールドを挙げて、最優秀中継ぎ投手を受賞しています。

高山 結果を残すにつれて、どんどん自信をつけていきました。実は彼の能力のなかで一番いいのは、コントロール。制球が崩れる心配がないので、安心して見ていられましたね。

【注目度が低かった攝津正】

── そして、7回はドラフト5位ルーキーの攝津正投手を起用しました。

高山 攝津は春季キャンプからあまり注目される存在ではありませんでした。私は同じ秋田県出身だったので、気にしていましたが(笑)。ただ、キャンプのキャッチボールを見て「ひどい投げ方をしているな......」と思ってしまいました。肩をかばって投げているような第一印象を受けたんです。

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