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阪神・大山悠輔に何が起きているのか? 名コーチ・伊勢孝夫に聞く「不振の原因と復帰時期」 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

 おそらく、もうケガは治っていると思うが、下半身がまだ一軍でプレーするレベルまで戻っていない。だから、上体に頼った打ち方になってしまっているのだ。

 しかも大山の場合、バットを構えた際のヘッドの入りが強く、それがよりバッティングを難しくしている要因になっている。

 打者は構えたとき、バットのヘッドをピッチャーのほうに向けるタイプは多い。問題は、そのときにヘッドの位置がどこにあるかだ。バットの傾きが浅ければ問題ないのだが、大山はヘッドの入りが深く、ヘルメットのツバのほうまできている。クセというか、それが自分ではしっくりきているのだろう。

 調子がいいときはスムーズにトップからスイングできるのだが、ひとたび調子が悪くなり上体で打とうとすると力が入り、タイミングが遅れヘッドが走らないスイングになってしまう。

 この状態が開幕からずっと続き、5月下旬からさらに悪化してしまった。

【どうすれば復調するのか?】

 では、どうすれば復調することができるのか。結論から言えば、もう一度キャンプをするくらいの気持ちで、土台からつくり上げる必要があると見ている。一から下半身を鍛え直し、本来のフォーム、スイングに戻すことだ。

 岡田監督も「実戦より、ミニキャンプのような調整を」と言っているそうだし、実際、ロングティーやアメリカンノックをやらせているみたいだ。そのメニューからも、下半身強化が目的ということはわかる。

 ロングティーは通常のティー打撃と違って遠くに飛ばすことを目的にしており、下半身の使い方を意識しないといけない。アメリカンノックは、たとえばレフトの定位置からライトに向かって走り出し、その走った先にノッカーがギリギリ届くか届かないかのところに打球を打つ。これも下半身強化のイロハのような練習方法だ。

 現在、一からつくり上げている段階だと思うが、ファンが心配しているのは一軍昇格までどのくらいの時間がかかるのかということだろう。完全に復調するには、私は3週間から1カ月はかかると見ている。言ってみれば、それくらい大山のバッティングは重症だったということだ。

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