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今季の佐々木朗希は「過去4年とは別人」 ロッテOB清水直行が指摘する「規定投球回到達が最優先のピッチング」とは? (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【「1イニングでも長く」という意志が見える】

――3つ目のポイント、フォークボールについてはいかがですか?

清水 出力を落としたことによって落ちが悪かったり、それを拾われたりするケースが目立ちます。(4月23日の)ソフトバンク戦では近藤健介をはじめ、何人かのバッターに拾われていました。落ちが悪いフォークボールは、バッターからすると打ちごろの半速球になってしまいますし、痛打されるケースが増えるのかなと。

 しかし大前提として、先発の役割は十分に果たしています。QS率もそうですし、成績的には2勝1敗ですが、全試合勝っていてもおかしくない内容でした。佐々木の場合は、投球の次元が違うので周囲が求めるレベルも高いということですね。

――清水さんは以前、佐々木投手が6、7回に交代する際の吉井理人監督や投手コーチとのやりとりで、「『ご苦労さん』と肩を叩かれて、素直に交代しているように見える」と話していました。今季はいかがですか?

清水 今季は、1イニングでも長く投げようという意志が見えますね。昨季までは球数制限があって、本人も「このあたりで終わりだな」とわかっていたから、「今日はここまで」と言われた時に「やっぱりな」という感じだったと思います。

 しかし今季は、球数の上限を増やしているはずなので、たとえば6回終了時に「球数がまだ残っている」とわかれば、集中力を切らさずに続投する気構えでいる。そこは昨季と明らかに違う部分です。

 繰り返しになりますが、先発ピッチャーとしての評価の基準のひとつは、規定投球回に到達したかどうか。球速や奪三振率は彼の魅力ですが、本人は先発登板の回数を増やし、規定投球回に達することを優先していると思います。バッターの調子にも左右される勝敗数などよりもわかりやすいテーマですよね。今季のピッチングを見ていると、その部分に注力していることは明白ですし、今後も注目していきたいです。

(後編:吉井理人監督も反省した「継投ミス」をどう見た?「『誰が打たれるか』はとても大事」>>)

【プロフィール】
清水直行(しみず・なおゆき)

1975年11月24日に京都府京都市に生まれ、兵庫県西宮市で育つ。社会人・東芝府中から、1999年のドラフトで逆指名によりロッテに入団。長く先発ローテーションの核として活躍した。日本代表としては2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得し、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボールクラシック)の優勝に貢献。2009年にトレードでDeNAに移籍し、2014年に現役を引退。通算成績は294試合登板105勝100敗。引退後はニュージーランドで野球連盟のGM補佐、ジュニア代表チームの監督を務めたほか、2019年には沖縄初のプロ球団「琉球ブルーオーシャンズ」の初代監督に就任した。

著者プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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