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「ハマの番長」の背番号18を継ぐ小園健太がついに一軍デビュー ライバルであり親友でもある投手から託された想いに「やらなきゃいけない」 (4ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi

【ライバルから託された想い】

 だが、小園は狙っていた開幕ローテーションを逃してしまう。好投はしていたものの、口遥大や中川颯といったライバルたちにその座を奪われてしまった。そのことを尋ねると、小園から無念さは漂っておらず、真っすぐな目で言うのだ。

「自分のなかでは、できる限りのアピールはできたと思います。たとえば去年のオープン戦は、場に飲まれてしまった自分がいたのですが、今年は制球を乱すことなく落ち着いて投げることができましたし、自分のなかでは一軍に向け準備ができているなと思っています。開幕ローテーションは逃しましたが、決してネガティブな感情はなくて、『(首脳陣から)いつでもあるぞ』とおっしゃっていただいているので、そこに向けてしっかりと集中したいと思います」

 プロ初となる一軍のマウンドを想像すると、どんな感情が湧き上がってくるのだろうか。そう尋ねると小園は、しばし考えを巡らせ口を開いた。

「楽しみ......いや、どうなんですかね。不安もあるので半々ですね」

 小園は正直にそう言うと、苦笑した。はたしてマウンドからはどのような景色が見え、どんな思いが胸に去来するのだろうか。

 一軍のマウンドに上がることは、小園からすれば自分だけではなく、ある選手の想いも背負いながらのピッチングとなる。そのある選手とは、同学年で同期入団の深沢鳳介だ。

 深沢は先発投手として一軍昇格を争ったライバルであり、またプライベートでは食事や買い物に一緒に行き、何でも話すことのできるチーム内で一番の親友である。
 
 深沢はキャンプから対外試合で好投を続け、開幕一軍候補に名が挙がっていたが、2月25日の楽天とのオープン戦で、右ヒジの違和感を訴え緊急降板すると、3月19日に球団からトミー・ジョン手術を受けたことが発表された。

 小園は、緊急降板からヒジの検査、手術の決断に至るまでの一部始終を間近で見聞きしていた。そして手術の際、ライバルであり親友の深沢からある思いを託された。

「今年は頼むわ」

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