WBCで岡本和真を支えた漫画『スラムダンク』 素振りのコツは「右手はそえるだけ...」【WBC2023】 (3ページ目)
「僕もナマで見るのは初めてでしたけど、えげつなかったですね。僕の打った感じだと外野フライになる角度の打球が、ホームランになる。弾道が"真上にライナー"なんです。あれは軸足の強さがあるからなんでしょうね。回転する時、ボールに力を伝えるまでの動きにムダがなく、100パーセントの力がボールに向かっていく。それって、やろうと思ってもなかなかできないんです。その精度と出力がメチャクチャ高いんで、だからあんなに飛ぶんだろうなと思いました。
ムネ(村上宗隆)には衝撃だったでしょう。あのチームではムネが一番遠くまで飛ばしていたのに、それをはるかに超える飛距離でしたから......でもね、ムネとはこんな話もしたんですよ。同じ人間なんだから可能性はあるよねって。あきらめるとか、心折れるとか、そういうふうにはならなかった。『あきらめたらそこで試合終了』ですからね。そうしたら決勝でふたり揃ってホームランを打てました。同じチームで、同じ試合で、一緒にホームランを打てるのはひょっとしたらあれが最初で最後だったかもしれませんし、むちゃくちゃうれしかった......すべては"SLAM DUNK"に通ず、ですね(笑)」
著者プロフィール
石田雄太 (いしだゆうた)
1964年生まれ、愛知県出身。青山学院大卒業後、NHKに入局し、「サンデースポーツ」などのディレクターを努める。1992年にNHKを退職し独立。『Number』『web Sportiva』を中心とした執筆活動とともに、スポーツ番組の構成・演出も行なっている。『桑田真澄 ピッチャーズバイブル』(集英社)『イチローイズム』(集英社)『大谷翔平 野球翔年Ⅰ日本編 2013-2018』(文藝春秋)など著者多数。
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