今中慎二が中日投手陣の課題をズバリ指摘 無駄なフォアボールを減らす解決策とは? (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【先発ローテは「競争させるべき」】

――新シーズンの先発ローテーションは、柳裕也投手、髙橋宏斗投手、小笠原慎之介投手に加え、昨年4月に左肘を手術した大野雄大投手も戻ると思いますが、どう見ていますか?

今中 僕は「大野を先発ローテーションに入れるの?」と疑問に思っています。手術明けで昨年はほぼ投げていないですし。少しでも投げて、多少なりとも手応えを掴んでシーズンを終えているのであれば「いけるかな」と思いますが、投げずに終わっていますから。春のキャンプには慎重に入るでしょうし、開幕からローテーションに入るのは無理じゃないでしょうか。

 ここまで話してきたように、力のあるピッチャーは他にもいます。梅津晃大らも復調してきている。過去の実績があるからといって、簡単にポンと枠をもらえるような薄い先発陣ではない気がします。

――梅津投手は、2022年3月に右肘の靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受けましたが、昨年8月に復帰して以降のピッチングをどう見ていましたか?

今中 8月31日のヤクルト戦が復帰登板で、合計3試合に先発しましたが、まずまずのピッチングだったと思います。来季は先発ローテーション候補だと思いますが、ローテーションに入れても、中6日以上は空けて球数を見ながら回していくと思います。

 手術後のピッチャーはデリケートなので、それくらい気を使わないといけません。なので、春先から無理はさせられない。ドーム球場はいいですが、甲子園球場や神宮球場での春先のナイターは寒いですし、あまり無理はさせたくないですね。

 助っ人の(ウンベルト・)メヒアもいますし、柳、髙橋、小笠原あたりがローテーションをしっかり回ってくれればいいのかなと。あとは、大卒のドラフト1位ルーキー・草加勝がうまくいけばローテーション入りの可能性があるでしょうか。ただ、あまり無理はさせられませんし、春季キャンプでいいものを見せてくれるかどうかですね。

――先発陣の競争は激しくなる?

今中 そうですね。ベテランでも、あぐらをかいていると足をすくわれると思います。春先は多くのピッチャーをどんどん投げさせて、競争させていけばいいんじゃないかと。涌井秀章に対しても「ベテランだから枠をひとつあげる」ということはせず、全員を競争させるべきです。みんなで切磋琢磨できれば、先発陣は昨年以上に頑張ると思いますよ。

(野手編:中日打線が「怖くない」理由 中田翔ら積極補強のプラス効果を解説>>)

【プロフィール】

◆今中慎二(いまなか・しんじ)

1971年3月6日大阪府生まれ。左投左打。1989年、大阪桐蔭高校からドラフト1位で中日ドラゴンズに入団。2年目から二桁勝利を挙げ、1993年には沢村賞、最多賞(17勝)、最多奪三振賞(247個)、ゴールデングラブ賞、ベストナインと、投手タイトルを独占した。また、同年からは4年連続で開幕投手を務める。2001年シーズン終了後、現役引退を決意。現在はプロ野球解説者などで活躍中。

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