栗山英樹監督からの助言に「そんなことできるわけないでしょ」WBC準々決勝イタリア戦 伊藤大海が大谷翔平の招いたピンチで見事な火消し (2ページ目)
【冷静に相手4番を料理】
大谷翔平が先発したイタリアとの準々決勝──伊藤はイニング途中、2番手としてマウンドへ上がった。ツーアウト満塁から大谷が2点タイムリーを浴びて、2−4と2点差に追い上げられた5回。ランナーを一塁と三塁に残して、大谷はマウンドを下りた。すれ違いざま、伊藤は大谷のお尻をポンと叩いた。
「大谷さんがタイムリーを打たれる直前、『球数からいってもこのバッターで終われなかったら行くよ』と言われていたので、僕は次に行くつもりで準備していました。ツーアウトでしたからチェンジになれば(ブルペンに)ステイ、塁に出たら行く......もちろん行かないに越したことはないんですが、気持ちを入れなきゃいけなかったので、行く気満々になっていました。
先発ピッチャーがイニングの途中で降りる悔しさは僕もわかりますし、(お尻を叩いたのは)任せてください、という思いがあったからです。栗山(英樹)さんには『このランナーは全部、還してもいいからね』みたいなことを言われましたが、そんなことできるわけないでしょ、と思っていました(笑)」
そして伊藤はブレット・サリバン(当時、パドレス3A)に対して7球を投じ、153キロのストレートでイタリアの4番バッターをショートフライに斬ってとった。
初球、2球目とストレートが外れてボールが先行したものの、3球目のストレート、4球目のスライダーでファウルを打たせて2−2の並行カウントへ持ち込む。
「サリバン選手は僕の真っすぐには合いそうもなかったんで、真っすぐで押していきました。スリーボールまで行っていたら違う攻めだったと思いますが、ツーボールなら向こうも思い切り振ってくるカウントですからね。それをうまく使って、3球目に真っすぐ、4球目にはスライダーを振らせてファウルを打たせました。先発だとボール、ボールのピッチングはできませんが、リリーフならアウトを1つ取ることだけを考えればいいので、ボールが先行しても焦りはありませんでした」
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