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広島ドラフト1位・常廣羽也斗がプロでの成功のカギと語る「柔らかいボール」って何だ? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

── 野球をやっていて、涙を流したことはないんですか?

常廣 わかんないです。小学生くらいの頃ならあるかもしれませんが、高校や大学ではないかもしれません。

── 卒業式で泣くこともない?

常廣 そうですね。泣こうと思えば泣けるんですけど、「泣けそうだな」と思うと妙に冷静になってしまって泣けないパターンになっていますね。

── 「泣こうと思えば泣ける」って(笑)。映画などを見て、感動して泣くということもないですか?

常廣 ないですね。どちらかというと、悔しさから泣きそうになることが多いです。ピッチングがうまくいかない時とか、結果が出ない時とか。ブルペンでもたまにあります。

── ブルペンで泣きそうになるんですか?

常廣 高校の時はよくありました。当時は何もわからない状態で、何かをつかみたくてもがいているんですけど、沼にハマっちゃう感じで。何がなんだかわからず、投げやりになってブルペンで投げていたこともあります。

【いい球を投げられる根拠がまだない】

── 基本的に喜怒哀楽を出さないイメージがありますが、打席に入る明治神宮大会(東都大学リーグはDH制)では楽しそうでしたね。

常廣 バッターの時はけっこう楽しんでワイワイできるんです。バッティングはめちゃくちゃ楽しいので。

── 送りバントを決めて、はしゃいでいる様子が印象的でした。

常廣 バッターって痛みが9分の1になるのかなと。攻撃は9人でやるのでほかの人がカバーできますよね。ピッチャーはひとりの責任になるので、より慎重になるというか。ピッチャーが自滅すれば、誰もカバーできませんから。

── それはずっと思ってきたことなのですか?

常廣 気づいたのはここ最近かもしれません。野手から声をかけてもらうこともありますけど、ピッチャーは自分で何とかするしかない。誰も助けられないなって。

── そう聞くと、孤独感を覚えそうですが......。

常廣 でもピッチャーは楽しいですよ。いや、楽しいというより面白い。やりがいがあります。まだ答えが見つかっていないので、不安な気持ちも大きいですが。

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