阪神黄金時代到来のカギを握る8人の若虎 将来のエース、次世代を担う4番候補も (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

茨木秀俊(投手/19歳/右投右打/2022年ドラフト4位/帝京長岡高)

 北海道から新潟の帝京長岡に進学し、元日本ハム投手だった芝草宇宙監督の指導を受けて成長。高校時代は好不調の波が激しかったものの、指にかかったストレートは打者の手元でひと伸びする好球質だった。

 将来性を評価され、ドラフト4位で阪神に入団。プロ1年目はウエスタン・リーグで12試合に登板し、3勝3敗、防御率6.57の成績だった。

 すでにブルペンでは目を引くボールを投げているだけに、あとは実戦でのアピールが不可欠。質の高いボールをコンスタントに投げるための再現性が求められる。同期入団の門別との北海道出身コンビが投手陣の競争を煽れれば、阪神の前途は明るい。

中川勇斗(捕手/19歳/右投右打/2021年ドラフト7位/京都国際高)

 高校3年夏に甲子園で2試合連続本塁打を放つなど、京都国際にとって初のベスト4進出を牽引した。身長172センチと小柄ながらキャッチング、スローイングともに安定しており、ドラフト下位指名ながら守備力とパンチ力を評価されてプロ入りしている。

 2年目の今季、ウエスタン・リーグでは57試合に出場して打率.265、3本塁打、18打点とまずまずの打撃成績。守備ではチーム最多の50試合でマスクを被った。交流戦の時期には一軍に昇格し、出場機会こそなかったものの貴重な経験を積んでいる。

 梅野隆太郎、坂本誠志郎の両捕手が30代となり、次世代の正捕手育成は喫緊の課題。そんななか、今秋のドラフト会議で阪神は捕手を指名しなかった。これは中川に対する高い期待の表われではないか。3年目の来季に少しでも成長を見せつけ、後釜としての地位を固めたいところだ。

井坪陽生(外野手/18歳/右投右打/2022年ドラフト3位/関東一高)

 高校時代は通算32本塁打のパワーと俊足・強肩の総合力を評価されてプロ入り。厚みのある体型は対戦相手に威圧感を与えた。

 プロ入り後はバットを右肩に担ぐように構え、ヒッチを入れてとらえるメジャーリーガーのようなスイングに変貌。この打撃フォームが肌に合ったのか、ウエスタン・リーグでは春先から安打を量産。5月時点で首位打者に立つなど、インパクト十分の活躍を見せた。

 最終的に93試合の出場で打率.248、3本塁打、34打点、4盗塁と高卒1年目としては上々の成績をマークした。来季、左翼と右翼の激戦区に割って入る可能性は十分ある。独特の打撃スタイルで弱肉強食の世界を生き残れるか。

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