飯田哲也がパ・リーグGグラブ賞を争った源田壮亮と紅林弘太郎の「1票差」を解説 (3ページ目)

6年連続ゴールデン・グラブ賞に輝いた西武・源田壮亮 photo by Sankei Visual6年連続ゴールデン・グラブ賞に輝いた西武・源田壮亮 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【日本で一番うまい内野手は源田壮亮】

── 三塁手は3年連続で宗佑磨(オリックス)となりました。

飯田 三塁は宗しかいませんね。三遊間、三塁線とどちらも球際に強い。それに正面の強い打球はグラブで叩き落としたり、体を張ったりして止め、素早く送球してアウトにする。捕球から送球までの一連の動作はしなやかで、時折見せるアクロバチックなプレーでもファンを魅了します。スローイングがアバウトな印象を受けますが、コントロールは安定しています。

── ショートは99試合で9失策の源田壮亮選手(西武)が、127試合で6失策の紅林弘太郎選手(オリックス)をわずか1票差で抑えて、6年連続6度目の受賞となりました。

飯田 「セ・リーグの二塁は菊池涼介選手(広島)ではなく、今年は中野拓夢選手(阪神)」と言いましたが、「パ・リーグのショートは今年も源田選手」です。打球への反応、フットワーク、グラブさばき、スローイング......どれをとっても動きがほかの選手とレベルが違います。源田選手の場合は「投げるために捕る」といった趣です。いま日本の内野手で一番うまいのが源田選手だと思います。

── 外野は辰己涼介選手(楽天)、万波中正選手(日本ハム)、近藤健介選手(ソフトバンク)の3人が選出されました。

飯田 辰己選手は今年ゴールデン・グラブ賞を受賞したセ・パ18人のなかで、守備力の高さは1、2を争います。守備範囲の広さ、強肩、失策0の安定感。文句なしのうまさです。余談ですが、辰己選手と近本光司選手(阪神)は同じ社高校(兵庫)出身なんですね。しかも2018年のドラフトで、辰己選手を外した阪神は近本選手を指名した。そのふたりがともにゴールデン・グラブ賞に選ばれるとは面白い縁ですね。

── 初受賞の万波選手はどんな印象をお持ちですか。

飯田 万波選手も俊足、強肩の外野手ですね。今回の受賞は納得です。「プロ入り前から憧れていた賞なので、今後も受賞したい」とのコメントを残していましたが、まだプロ入り5年目。ゴールデン・グラブ賞の常連となれるよう、これからも頑張ってほしいと思います。

 近藤選手は決してうまいとは言えませんが、103試合で1失策。捕れる打球を確実に捕ったということでしょう。これまで常連だった柳田悠岐選手(ソフトバンク)が2年連続して受賞を逃したのも世代交代を感じます。来年はどんな選手が出てくるのか、今から楽しみですね。

飯田哲也(いいだ・てつや)/1968年5月18日、東京都生まれ。拓大紅陵高3年時に春夏連続して甲子園に出場し、86年ドラフト4位でヤクルトに入団。捕手として入団するも、野村克也監督に俊足、強肩を買われ外野手に転向。91年から97年まで7年連続ゴールデン・グラブ賞を獲得し、ヤクルト黄金時代の名手としてチームを支えた。05年に楽天に移籍し、翌年現役を引退。引退後はヤクルト、ソフトバンクでコーチを務め、20年より解説者として活躍

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