セ・リーグ選手のFA戦線を高木豊が予想 出場減の巨人・中田翔、ヤクルトの田口麗斗など最適な球団は? (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【巨人で出場機会が減った中田翔は?】

――捕手では、戸柱恭孝選手(DeNA)もFAの可能性がありますね。

高木 どの球団もキャッチャーは揃ってきています。ただ、DeNAのキャッチャー陣は山本祐大が伸びてきて、ファームには松尾汐恩がいて、伊藤光はFA権を行使せずに残りました。なので今後を考えると、序列が厳しくなっていく可能性はあります。ある程度バッティングがいいだけに、それを活かせる球団はいいかもしれません。

――中田翔選手(巨人)の動向も注目されています。今年は昨年よりも少ない92試合の出場にとどまりました。ルーキーの門脇誠選手がショートに入ったことで坂本勇人選手がショートからサード、サードの岡本和真選手がファーストへ移り、来年は出場機会の減少が予想されています。

高木 中田はFA宣言すると思います。移籍先の候補はソフトバンクやロッテ、中日などが挙がっていますが、ロッテ、中日ならファーストで出られると思います。ソフトバンクでも同様ですが、山川穂高(西武)次第ですね。山川を獲るなら中田は獲らないでしょうし、その逆もあります。

 一方でロッテはファーストがいない。山口航輝などいろいろな選手が守っていますが定まっていません。そういう状態だと守備がガタガタになりますが、中田は守備力が高いので内野の守備全体が安定するでしょう。今年は(グレゴリー・)ポランコがDHで出ましたが、ポランコが離脱した場合などは中田をDHでも使えます。

――ロッテが獲得に動いた場合は移籍の可能性がある?

高木 中田は子供の学校など、家族の生活環境を重視していますよね。そうなると関東の球団を選ぶ可能性はあるんじゃないかなと。

 中日も今年は(ダヤン・)ビシエドが結果を残せず、宇佐見真吾などがファーストを守っていた現状を考えると、山川を狙う可能性もありますが中田は欲しいでしょうね。ただ、中田にしろ山川にしろ、広くてホームランが出にくいバンテリンドームが本拠地の中日には行きたがらないんじゃないかと。2人ともホームランでリズムを掴んでいく選手なので、バンテリンドームの広さはちょっとネックになりますよね。中田はもともとパ・リーグの選手ですし、移籍するとしたらロッテの線が強いかなと思います。

(パ・リーグ編:西武の山川穂高は「残留してチームに貢献すべき」>>)

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

高木豊のYouTubeチャンネルはこちら>>

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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