検索

阪神・岡田彰布監督が語った「采配合戦」の怖さ「外れた時の大きさのほうを考えたら...簡単にサインなんて出せない」 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 オリックスはセットアッパーの山崎颯一郎がコンディション不良からか、2戦連続でベンチ外となったなか、最終回に登板したワゲスパックの乱調が響いた格好だ。そうした起用も含め、両監督の「采配」が見どころとなった一戦だった。

 とりわけ勝負を分けたポイントのひとつが、前述した8回表だ。代打の代打が送られ、スクイズも想定されたなか、岡田監督はどう考えていたのか。記者に問われると、じつに興味深い回答をしている。

「采配てねえ、外れた時の大きさのほうを考えたら、なかなか出せんよ。そんな簡単にスクイズとかね、できないって。短期決戦では余計に。それで一気に流れもいってしまうわけやからな。それほどサインのひとつ言うたら、怖いことやから。そんな簡単にね、一、三塁やからセーフティースクイズとかって、できへんて。口で言うのは簡単やけど、見てるほうは簡単やけど、そんなんできないって。ひとつのミスが流れを変えてしまうんやから。今日のゲームを見たら、わかるやんか。ひとつのミスで、これだけゲームが変わるわけやからな。そんなん、簡単にサイン出されへんて」

 相手がチャンスで動いてくるのかどうか、心理状態まで踏まえて判断し、自チームの手を決めていく。「采配」にはそこまで含まれるのだ。ただ送りバントや盗塁、スクイズのサインを出すことだけが、監督の決断ではない。相手が動いてこないだろうと読めれば、勝負の流れに影響を及ぼせるわけである。

 セ・パをぶっちぎりで制したふたりの知将の真っ向勝負で生まれた、日本シリーズ第4戦の大熱戦だった。

  プロ野球経験ゼロのジイさんが、なぜタイガースの監督に!?
“猛虎史最大のミステリー”に迫る傑作エンタメ・ノンフィクション書籍
『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』
村瀬秀信・著  1980円(税込)
2024年2月5日発売 予約注文受付中!>>

著者プロフィール

フォトギャラリーを見る

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る