松永浩美が間近で見た、門田博光のハイタッチ脱臼の瞬間 ブーマーは「えっ!?」と驚き「そんなに力は入れていなかった」 (2ページ目)
―― 死球の場合は、相手の一塁手が声をかけてくることもありますよね。
松永 そこで声をかけられても、苦虫を噛み潰したような表情を見せていました。手袋を外しながら、ぶつけられた箇所を気にしたりしてね。それで、私がやっとピッチャーのほうを見たら、ペコっと謝ってくる。そこまで3分くらいだと思いますが、ピッチャーはずっと動揺しっぱなしです。それがチームにとってプラスになればいいと思っていました。
ブーマーも、ピッチャーに対して文句を言うことはほとんどありませんでした。「乱暴者」みたいな書かれ方をした時も、私からすれば、メディアの人間はブーマーのことを何も知らないんだなと思っていた。怒った瞬間しか見ていなかったんでしょう。
ピッチャーに向かっていく時は、それまでに5、6発当てられていた時だけ。彼が死球のあとにベンチに戻った時や、試合が終わってロッカーにいる時も、「あいつにぶつけられたから、次はやり返す」といった攻撃的な言葉は聞いたことがありません。
――ボールの避け方はうまかったですか?
松永 骨折するような下手な避け方はしていなかったですけど、あれだけ厳しく攻められて大変だったでしょうね。ただ、ブーマーだけでなく、阪急にやってきた外国人選手は、乱暴な人間があまりいなかった。ピッチャーのアニマル(・レスリー)はけっこう騒がしかったけど、自分から乱闘を仕掛けることはなかったですし、バッターにバンバンぶつけるようなこともありませんでした。
【間近で見た門田の脱臼】
――ブーマーさんといえば、ホームランを打った門田博光さん(オリックス時代)を出迎えた際、ハイタッチをしたら門田さんが右肩を脱臼してしまった事件も印象的です(1989年9月25日のダイエー戦)。
松永 私はランナーで出ていて、そのホームランで本塁に戻ってきたので、2人の近くにいたんです。門田さんが腕を押さえて痛がり始めた時は、ブーマーは「えっ!?」と驚いた顔をしていましたよ。あれは、どちらかというと、門田さんが手を出したタイミングと腕の角度が悪かったんです(笑)。腕を持っていかれるような形になっていたので。
2 / 3