関本賢太郎から見た好調・阪神の岡田彰布監督の采配 優しい投手起用、「勝負勘」も冴える (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

【冴えわたる"勝負勘"】

――第一次政権時と比べて、選手起用や采配に違いはありますか? ベンチでは、岡田監督が柔和な表情を見せる場面も多いような気がします。

関本 年齢も重ねていますし、以前より柔らかくなった印象は少しありますね。ピッチャーの起用で言えば、当時はJFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)が勝ち試合、江草仁貴投手、桟原将司投手、橋本健太郎投手らをビハインドの展開で登板させてきっちりわけていましたが、先ほども話したとおり今はみんなで回している感じです。

――今は誰が投げてもある程度は抑えられる?

関本 そうですね。だから野手にも「今日は負け試合」という感覚はないはずです。ピッチャーの起用の仕方で、監督の気持ちはわかるもの。第一次政権で言うと、負けているのにJFKが出てきたら「今日は勝つぞってことなんだな」となりました。それが監督のアンサーなんです。

 今は、全員が勝っている展開で投げるピッチャーという状況なので、誰が出てきても「今日は勝たなあかん日や」となっている感じがするんです。

――野手の起用に関してはいかがですか?

関本 1番の近本光司選手から8番の木浪聖也選手まで、ほぼすべてのポジションが固定されています。レギュラーの選手は、試合の最後まで替えずに責任をしっかり持たせる。逆にその立場じゃない選手に対しては、いろいろなライバルをあてがいながら競争心を煽っています。

 そういうところは第一次政権時と同じですね。競争心を煽りながら、選手の状態を監督自身がチェックしているんですよ。相手のピッチャーのタイプによって「このバッターは合う、合わない」というのをすごく観察しているんです。

――5月18日の中日戦での、ヨハン・ミエセス選手の起用も当たりましたね。

関本 タイムリーも打つなどミエセス選手が奮起したのはもちろんですが、監督の眼力もあるでしょうね。練習などを見ていて、「打てそうだったから使った」とコメントしていましたし。相手ピッチャーとの相性を見極めて、島田海吏選手や井上広大選手も起用したりというのは、ひらめきというか"勝負勘"の冴えを感じますよね。

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