辻発彦が選出する「守備の名手ベストナイン」 源田壮亮は何がすごいのか、二塁手の極意についても語った (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Getty Images

── では、菊池涼介選手(広島)の極端なポジショニングを見てどう思いますか。

 良し悪しだと思います。ただ、菊池の身体能力はすごいと思います。あれだけの脚力があるのだから、定位置に守っていても追いつくだろうと思ってしまいます。

【二遊間コンビの極意】

── 辻さんの現役時代、パ・リーグの二塁手は大石大二郎さん(近鉄)、西村徳文さん(ロッテ)、白井一幸さん(日本ハム)といった名手がたくさんおられました。

 みんな足のある選手で、守備範囲が広かった。私を含めたあの時代の二塁手を、周囲がどう見ていたかを知りたいですね。みんないい選手だったので「レベルが高いな」という意識はありました。ただ守備に関しては、「ほかの二塁手には負けたくない」という気持ちがありました。

── ゴールデングラブ賞に対する思い入れはいかがでしたか。

 ゴールデングラブ賞を初めていただいた時(1986年)はすごくうれしかったです。あと94年に白井選手が守備率.997のリーグ記録をつくり、現在に至るまで抜かれていません。あの時、日本ハムの大沢啓二監督(当時)が「なぜ白井がゴールデングラブじゃないんだ」と発言されたことを覚えています。でも守備は「率」だけではないと、私は思います。捕れるか捕れないか、ギリギリの打球にトライするわけです。ふだんから正面でなく逆シングルで捕っていると、やはり肝心なところで届かないでヒットになります。

── ヒットなら守備率は下がらない。逆に、結果的にエラーと記録されても、ギリギリの打球に追いついたからこそのエラー。数字だけでは推し測れないということですね。

 そういうことです。私は肩が強いほうではなかったので、そのおかげで守備はうまくなったと思います。できるだけ投げやすいところで捕る、送球しやすい捕り方をいつも考えていましたから。打球を素早くさばいて、ステップを速く踏めば強肩選手と同等に戦えるわけじゃないですか。ゲッツーもそうです。二遊間の選手はステップもハンドリングも速くしないと、昔は危険なスライディングで潰されていましたから。

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