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辻発彦が選出する「守備の名手ベストナイン」 源田壮亮は何がすごいのか、二塁手の極意についても語った (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Getty Images

【逆シングルは最終手段】

── 辻さんは、高校時代は遊撃手、社会人(日本通運浦和)では三塁手でしたが、プロに入って二塁手になりました。難しくなかったですか。

 最初は戸惑いましたよ。サードやショートとまったく反対の動きですし、三遊間に飛んだ打球は一塁のバックアップにいかないといけないですから。私の入団時、ベテランの山崎裕之さんがもう38歳でした。そもそも社会人時代の都市対抗で1試合だけ二塁を守ったのを、西武のスカウトの方が見ていて、「二塁手でいけるだろう」となったそうなんです。

── ゲッツーの時のジャンピングスローなど、辻さんのプレーはじつに華麗でした。

 慣れていなかったので、とくに二塁牽制の入り方が難しかったです。ショートは極端にスピードを落とさなくても流れで入ってタッチできますが、セカンドはスピードを落としながら静止して、走者にタッチしなければならない。プロとなると、投手のターン、送球も速いですから。今では考えられないですが、走者一塁で二塁手が一塁ベースに入っての牽制もやっていたんですよ。

 当時の守備コーチは、日野茂さん、広瀬宰さんでした。ある時、ショートで日野コーチのノックを受けたことがあったんですが、三遊間のゴロを何度も弾いてしまいました。すると「そんなの逆シングルで捕ればいいじゃないか。頑固なヤツだな」と言われました。私としては、正面に入れる守備範囲を広げたいという思いがあって、逆シングルやジャンピングスローは最終手段でした。だから、そうしないと一塁に投げられなかっただけで、意識的にやっていたことではなかったです。

── 打球が飛んでくる方向を予測して守備位置を変える"ポジショニング"についてはどう思いますか。

 最近の「○○シフト」のように、私は守備位置を極端には変えませんでした。ふつうに守っていたら捕れた打球を、移動したために抜かれたら投手はショックでしょう。センター方向に打球が飛びそうだと思った時は、いつもより右側のスタートを早くする意識を持っていました。また、投手の投げる球によってポジションを変えることもしませんでした。たとえば右打者に対して捕手のサインで右に動いたら、バッターに「次は内角だ」と教えているようなものです。だから投手が投げる瞬間、打者にわからないようにスッと動くんです。そもそも自軍投手の球速、打者のスイングを見ると、だいたい打球方向ってわかるものです。

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