育成出身新人王・水上由伸(西武)「2年連続タイトル獲得、そして推定年俸1億円...」 60試合以上登板で大暴れを誓う3年目 (2ページ目)

  • 寺下友徳●取材・文 text by Terashita Tomonori
  • 佐藤友美●撮影 photo by Sato Tomomi

●「生粋の野球小僧」は優勝のために

「僕は野球が好きなので、投手もやりたいし打者もやりたい。だから自主トレーニング中もロングティーをしますし、大学で野手から投手に戻ったのも、楽しみたいから。

 僕より若い選手たちを見ていると、野球を始めた時の楽しい気持ちをもっているのかなと思うこともあります。そうでないと成長しないと思います」

 水上は野球小僧のごとく笑う。

「大学の4年間を暮らしたので、香川は今でも過ごしやすいです」

「新人王をとってお祝いに故郷の長野の宮田村から豚1頭もらいました」

 インタビューでさまざまな話をしてくれた水上。「自らを客観視することが大事」などという、普段はあまり語らない野球哲学にも話がおよんだ。

この記事に関連する写真を見る 今季の意気込みを聞くと、水上は真剣な表情になって「優勝したいです。ビールかけしないとプロ野球選手は引退できない。大暴れしたいですね」と言った。

「松井稼頭央監督は、僕が1年目に二軍監督、2年目の時にヘッドコーチとして一緒でした。去年の秋季練習の時から選手たちと毎日話をする方で、僕らもすごく関わりやすい」

 松井新監督についてはこう話すと、水上は続けた。

「今年は60試合以上に登板して2年連続タイトル獲得、そして推定年俸1億円......早くいっちゃいたいです!(笑)」

 四国学院大時代の恩師である中尾明生は「野球選手の価値はお金で決まるぞ」と水上を送り出した。

「地方馬がダービーを制するストーリーを描いた歌詞が好きで、育成選手の時から登場曲に決めていたし、今後も変えるつもりはない」

 水上はAK-69の『IRON HORSE -No Mark-』の"下剋上マインド"を胸に刻む。

「優勝するためならどこでも投げます。優勝します!」

 そう宣言した水上の新シーズンがいよいよ幕を開ける。

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前編<「そのシュート、いいね」松坂大輔の言葉に「いける」 育成5位→新人王の西武・水上由伸が大下剋上を果たせたわけ>

【プロフィール】
水上由伸 みずかみ・よしのぶ 
1998年、長野県生まれ。山梨・帝京第三高校、香川・四国学院大学を経て2020年ドラフト会議で埼玉西武ライオンズから育成ドラフト5位で指名。2021年5月に支配下登録されると、同年6月に一軍初昇格。1年目は一軍で29試合に登板し、0勝1敗4ホールド・防御率2.33を記録。2年目の2022年は60試合に登板し4勝4敗31ホールド1セーブ・防御率1.77をマーク。最優秀中継ぎ投手、新人王に輝いた。

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