日本シリーズで巨人相手に衝撃の4タテ 「野球観を変えた」当時の西武の強さの理由を辻発彦が語る
辻発彦が語る日本シリーズ激闘の記憶(中編)
1980年代から90年代にかけて、西武「不動のセカンド」として走攻守で存在感を示し、チームの黄金期を支えた辻発彦氏。中編の今回は、巨人を4タテした1990年の「衝撃の日本シリーズ」について語ってもらった。
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【リーグ優勝は最低限のノルマ】
── 巨人と対戦した日本シリーズは、87年の次は90年でした。
辻 出場した10回の日本シリーズはすべてに思い出はありますが、4勝0敗でストレート勝ちした90年が一番印象深いです。4連勝して日本一になった日が、私の誕生日(10月24日)だったことで、よく覚えているというのもあります(笑)。
── 90年の巨人は、ペナントレースで2位に22ゲーム差をつけましたが、西武も独走でした。前年の89年はブライアント(近鉄)の4連発などで西武は優勝を逃しますが、90年は2位に12ゲーム差をつけて優勝。89年の悔しさがあったのでしょうか。
辻 結構な大差でしたね。当時、チーム内に"リーグ優勝"は最低限のノルマ的な雰囲気がありました。日本シリーズに勝ってこそ、やっと「よし、優勝したぞ!」という気持ちになりました。だから、リーグ優勝しても日本シリーズに負けたら、「今年のシーズンは何だったのだろう......」という感じでしたね。90年に関しては、89年のペナントレースのことがあったので、最後まで油断しないようにという気持ちは強かったです。
── 90年は巨人の斎藤雅樹が2年連続20勝をマーク。ほかにも、桑田真澄14勝、宮本和知14勝、木田優夫12勝、香田勲男11勝と、2ケタ勝利が5人もいました。シリーズ前の対巨人のミーティング内容はどんなものでしたか?
辻 やはり、斎藤は手こずるだろうなというところでした。ただ、初戦は槙原でした。槙原は83年、87年と西武との日本シリーズで場数を踏んでいたし、好投していたイメージがあります。桑田は87年のシリーズで対戦しましたが、宮本、香田、木田は初顔合わせに近かったです。
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