侍ジャパンの準々決勝勝利へのカギを元阪神エースの岩田稔が分析「捕手の使い分け」「下位から上位のつなぎ」「4番・村上宗隆の復調」 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

 5回から2番手でマウンドに上がった高橋奎二投手も、普段からバッテリーを組んでいるだけあって中村捕手が持ち味を引き出す配球をしていました。右バッターのインコースに強いボールを投げて、チェンジアップもしっかり腕を振っていた。バッターはインコースを意識する分、低めに変化していくチェンジアップにバットが止まりませんでした。

 そして7回からマウンドに上がった大勢投手は、今大会初登板でおそらく緊張していたと思いますが、大胆なピッチングができていました。僕がWBC初登板の時は地に足が着いていない感じがしましたが、それくらい緊張するものです。でも大勢投手は、そんなことを感じさせないくらい、堂々としたピッチングを披露していました。

【準々決勝のカギは?】

 オーストラリアとの全勝対決を制して侍ジャパンは1次リーグを首位通過しました。序盤から攻撃陣がリードを奪ったことで、投手陣は精神的にラクな状態で投げることができた。そうした意味でチームを引っ張ったのが、1番のヌートバー選手です。

 初戦の中国戦では初球をスイングしてセンター前ヒットを放ち、チームを勢いづけた。オーストラリア戦でも、初回に際どいコースを見極めてフォアボールを選びました。そこから大谷選手の3ランにつながっていくわけですが、ヌートバー選手が出塁したことで一気にスイッチが入りました。

 1番のヌートバー選手から2番の近藤選手、3番の大谷選手と上位は好調ですので、今後は下位打線の出塁がより重要になってきます。

 オーストラリア戦では、2回に8番の中野拓夢選手が出塁し、盗塁を決めました。そして9番の中村選手がバントで送り、ヌートバー選手のタイムリーで得点するというシーンがありました。下位が小技を絡めてチャンスをつくり、上位で還すという理想的な形で得点しましたが、今後はこういう攻めがどれだけできるかがカギになります。投手のレベルも上がってきますし、簡単には得点できません。連打で得点というよりは、機動力を絡めながら攻めたいところです。

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