ヌートバーの逆パターン。2013年WBCにブラジル代表として出場の松元ユウイチ「初戦が日本と決まってからは眠れない日もありました」 (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • photo by Wada Satoshi, Kyodo News

●接戦で予選を制し本大会へ

 そんな松元にチャンスが巡ってくる。第3回大会で予選ラウンドが行なわれることになり、ブラジルも参加できることになった。

 しかし、予選が行なわれるのは本大会の前年の秋。プロ野球のシーズン真っ只中に予選に向けた準備をしなければならなかった。

「ヤクルトが一番でしたし、もし代表のほうを選んだら(ヤクルトでの)出番がなくなるんじゃないかっていう不安もありました。それでも、自分のなかではWBCに出たいという気持ちが強かった」

 球団とも話し合いをし、「こんなチャンスはないので、行ってこい」と快く送り出してもらった。

 予選ラウンドはパナマで開催。その1回戦でいきなり過去2大会出場の強豪で開催国のパナマと激突した。

「もう完全にアウェーですよ。正直、勝つのは難しいかもしれないとも思いましたが、9回まで何が起きるかわからないので、みんな一生懸命頑張りました。

 あの時のブラジル代表は、半分が日本、残り半分がアメリカでプレーしていて、バランスのいいチームでした。

 日本でプレーする選手は細かいところを意識し、アメリカでプレーしている選手は、長打を狙うなどダイナミックでした」

 パナマに2回に先制を許したが、すぐさま逆転。再び追いつかれたが、5回に勝ち越し、3対2で接戦を制した。

 トーナメントを順調に勝ち上がったブラジルは、本大会進出決定戦でも、敗者復活を勝ち上がったパナマと対戦する。

パナマ戦で一塁を守る松元パナマ戦で一塁を守る松元この記事に関連する写真を見る ここでも息が詰まる接戦となったが、1対0で見事に勝利し、念願叶い本大会の切符を手にした。

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