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オリックス宇田川優希は育成から侍ジャパンへの大出世。覚醒請負人・中垣征一郎が明かす「衝撃の157キロと弾丸フォーク誕生秘話」 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

【宇田川のボールは世界で通用する】

── 160キロ近い、しかも力のあるボールがストライクゾーンへ......。

「宇田川に限らず、僕がピッチャーの技術的な修正や改善を試みる時に考えることは、大きく言うと方向とタイミングを合わせることだけなんです。宇田川の場合には右脚の使い方を修正して、体重移動をうまくコントロールすることが最も明確な課題だと考えました。体重移動のエネルギーを狙った方向にうまく得ることができれば、それが次に回転のエネルギーに転化した時の爆発的な力を発揮することにつながります。体重移動からの左脚の踏み込みに、腕のスイングを伴う回転動作を合わせるタイミングをいかに最適に近づけるか......その作業が、右脚の動きの改善をきっかけとして一気にまとまっていきました」

── 宇田川投手については育成選手から一気に日本代表へ、ということで話題になっていますが、WBCではどんなピッチングを期待しますか。

「彼のボールは十分、世界に出られると思います。コントロールへの不安も相当解消されていますし、彼のボールの強さがどれくらいメジャーのバッターに通用するのか見てみたいですね。いや、これ、すごいんですよ......いつの間にか、小っちゃいフォークと大きいフォークを投げ分けられるようになっちゃったんです。手を出すタイミングが合いだしたら、制御しきれなかった大きいフォークも試合で使えるようになったんですよね。宇田川の大きいフォークは、本当にすごい。千賀(滉大/メッツ)投手の"お化けフォーク"に勝るとも劣らないのではないかと思います」

── 中垣さん、では命名して下さい。

「命名? また、そんな無茶ぶりを......」

── だって、宇田川投手、山﨑颯一郎投手のことを中垣さんが"弾丸ボーイズ"と名づけたじゃないですか。

「それも名づけてないけど......では、もうそのままの"弾丸フォーク"でどうですか(笑)」

【著者プロフィール】石田雄太(いしだ・ゆうた)

1964年生まれ、愛知県出身。青山学院大卒業後、NHKに入局し、「サンデースポーツ」などのディレクターを努める。1992年にNHKを退職し独立。『Number』『web Sportiva』を中心とした執筆活動とともに、スポーツ番組の構成・演出も行なっている。『桑田真澄 ピッチャーズバイブル』(集英社)『イチローイズム』(集英社)『大谷翔平 野球翔年Ⅰ日本編 2013-2018』(文藝春秋)など著者多数。

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