「早稲田大は野球も考え方も古い」と感じていた仁志敏久が涙を流し、4年の秋に「行ってよかった」と心から思えたワケ

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Ichikawa Mitsuharu (Hikaru Studio)

『4軍くん(仮)』コミックス第1巻発売記念SPECIAL!
大学野球を10倍楽しく見よう!特集〜第4回 早稲田大OB・仁志敏久氏

『ヤングジャンプ』で連載中の『4軍くん(仮)』のコミックス第1巻発売を記念して、「大学野球を10倍楽しく見よう!」特集がスタート。東京六大学野球部OBの6人にご登場いただき、母校について熱く語ってもらった。第4回は早稲田大の主将として活躍し、3度のベストナインを獲得した現DeNAファーム監督の仁志敏久氏だ。

早稲田大4年時は主将を務めた仁志敏久氏早稲田大4年時は主将を務めた仁志敏久氏この記事に関連する写真を見る

【第一志望は早稲田ではなかった】

── 早稲田大学で2度の優勝を経験して、ベストナインにも3度選ばれました。仁志さんにとっての大学野球とはどんな存在ですか。

仁志 大学生って年代的に情熱的だったり感情的だったり、子どもながらに哲学みたいなことを考え出して意見を持ち始める時期ですよね。ですからみっともない泥臭いことをやっても、誰もそれを嘲笑ったりバカにしたりしない......それが大学野球だと思います。まぁ、早稲田のバンカラという校風のおかげもあったかもしれませんが(笑)」

── 仁志さんは高1の時、レギュラーとして夏の甲子園で準優勝を経験しています。その後も3年連続で夏の甲子園に出場、常総学院の木内幸男監督のもと、"木内マジック"と謳われる斬新で理に適った野球を謳歌してきました。そんな仁志さんが早稲田を選んだのはなぜだったんですか。

仁志 高校の時の先生が、僕は早稲田に行きたがってると思っていたみたいなんですよ。

── みたいって(笑)......早稲田志望ではなかったということですか。

仁志 僕の2つ上の先輩が、僕と同じ推薦制度で早稲田に入っていたんです。僕もその制度を使って早稲田に行きたいと、先生が勝手に思い込んでいたんでしょうね。僕は法政に行こうかなと思っていたんですが、学校として僕を早稲田に推薦すると言うので、じゃあ、それに乗っかろうかなという感じです。いま思えば、ずいぶん簡単に考えていましたね(笑)。

── 早稲田の野球部と言えば多くの高校球児にとって憧れの存在なのに。

仁志 そうみたいですね(笑)。とくに一般受験で入学してきた人は、神宮で早稲田のユニフォームを着たかったと言っていました。でも僕にはそういう憧れのような気持ちはありませんでした。

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