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日本ハムのドラ1・矢澤宏太に山本昌が授ける、プロの世界で生き抜く術。「無理して太る必要はない」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kai Keijiro

山本 うれしいですね。僕は初動負荷理論の提唱者である小山裕史さんと親しくさせていただいて、現役時代は1995年から引退するまで20年くらい通いました。矢澤くんも感じたと思うけど、関節周りなど柔軟性がよくなって、体の調子がすごくよくなるんです。イチローくん(元マリナーズほか)や岩瀬仁紀くん(元中日)も初動負荷を取り入れたメンバーですけど、みんな長くプレーしましたよね。矢澤くんは今まで深刻な故障をしたことはないですか?

矢澤 はい、ないです。

山本 そうだと思いますよ。僕の場合は体の疲れがとれる感覚がありました。もちろん、合う人と合わない人がいるので強制するわけではなく、自分がいいと思うものをどんどん試してみるべきなんですけど。

矢澤 僕が初めて初動負荷をやったのは中学3年生で、シニアを引退した時なんです。少しやっただけで、キャッチボールが明らかに変わって。ちょうど体も成長期で、僕のなかではすごくいいタイミングで始められたと感じています。投手も野手も両方やるうえで体力が必要で、疲労感や体の張りをとっていくのに初動負荷は最適でした。

【無理して太ることはない】

山本 すごいね。僕とまったく一緒。僕は初動負荷で小山先生とピッチングフォームをつくっていって、その理論を伝えていたのがじつは中日の後輩だった辻コーチ(孟彦/日本体育大)なんです。「なんとかこの子に一軍で活躍してもらいたい」と思ってね。だから今回の対談は、すごく縁を感じますね。辻コーチからの指導も大学での成長につながっているんですか?

矢澤 はい。ピッチャーに関してはすべて辻さんに見てもらってきました。辻さん以外の方にピッチングフォームを指摘されたこともないです。

── 体づくりに関しても、辻コーチの意見を取り入れているそうですね? 入学当初は「体重を増やしたくない」と言っていたとか。

矢澤 最初は「動きたい」という思いがあって(笑)。でも、大学に来たからには4年間という時間が確立されているので、そのなかで成長するには体を少しでも大きくしたほうがいいという考えが出てきました。僕が入学した時、先輩に吉田さん(大喜/ヤクルト)、北山さん(比呂/前東芝)、森さん(博人/中日)がいらっしゃって、僕なんか全然だと思ったので。やるしかないな、と。

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