元審判員が選出する「本当にすごいと思った名投手」。松坂、ダルビッシュ、大谷よりもすごい5人とは?【2022年人気記事】
2022年はサッカーW杯など様々な競技で盛り上がったスポーツ界。スポルティーバではどんな記事が多くの方に読まれたのか。今年、反響の大きかった人気記事を再公開します(2022年4月19日配信)。
※記事内容は配信日当時のものになります。
プロ野球の審判員として1992年から2020年までの29年間、2414試合をジャッジした佐々木昌信氏。一昨年に引退し、現在は実家の寺院を継いでいる。そんな佐々木氏に、29年の審判生活のなかで、強烈に印象に残っている5人の投手を挙げてもらった。
現役時代、日米通算134勝、128セーブ、104ホールドを挙げた上原浩治この記事に関連する写真を見る
ダントツNo. 1の投手は?
上原浩治(元巨人など)
上原投手は、ストレート、フォークボール、スライダーと、すべての球種がカウント球にも、勝負球にも使えた。つまり、三振を狙って「空振りをとる」、ダブルプレーを狙って「ゴロを打たせる」、ツーアウトからチェンジを狙って「フライを打たせる」ことができた投手でした。
なかでもフォークは3種類を自在に投げ分けることができた。カウントをとる落差の小さいフォーク。いわゆるスプリットです。そして空振りをとる落差の大きいフォーク。そしてスプリットよりもスピードのあるフォーク。当時からフォークでカウントを稼げる投手は圧倒的に少なく、そういう意味でも上原投手は突出した存在でした。
またスライダーは左打者の内角に食い込んでくるので、ほとんどのバッターが差し込まれていました。
なにより上原投手の最大の武器はコントロール。9イニングの平均与四球率が2.00だと「抜群のコントロールを誇る」という部類に入るそうなんですが、上原投手は通算1.26。たとえば、昨年のセ・リーグ防御率1位の柳裕也投手(中日)が2.15、パ・リーグ1位の山本由伸投手(オリックス)が1.86ということを鑑みると、この数字がいかに驚異的だったかわかります。
とにかくボールゾーンで打者の目先を変えなくても、ストライクゾーンだけで勝負できるから、球数も少なかったし、試合時間も短かった。私の29年の審判生活のなかで、ダントツのNo. 1投手です。
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