岡田彰布監督の采配を知る関本賢太郎が阪神の課題を語る。立て直しのキモは「守備力、リリーフ陣、右バッター」 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

令和版のJFKが作られる?

――開幕からつまずいた主な理由として考えられることは?

関本 (カイル・)ケラーはコロナ禍で来日が遅れていて調整不足でした。それでもクローザーはケラーでいくという感じでしたし、調子というよりもプランを優先したところがあったと思います。岩崎優投手もキャンプで出遅れていて決して万全ではありませんでしたし......。リリーフ陣を臨機応変に適材適所で起用していくことが、シーズン当初はできていなかったのかなと思います。

 岡田監督が(第一次政権の時に)作ったJFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)の影響もあって、阪神は2003年ぐらいから「終盤の7、8、9回はそれぞれ決まったピッチャーが投げる」という流れがありました。ですが、コロナ禍が始まった頃あたりから、NPB全体では「勝ちパターンは3人では回らない」という流れになってきていますよね。

 今年優勝したオリックスにしてもヤクルトにしても、3人だけではなく5、6人ぐらいのリリーフ投手で3イニングをつないでいます。1試合ですべてのリリーフ投手を使うわけではなく、状況に合わせて臨機応変に起用し、2人ぐらいは残しておくというスタイルにちょっとずつ変わってきています。

――岡田監督はJFKのように、勝ちパターンのリリーフ陣の形を作っていく?

関本 作っていくと思いますが、先ほども話したように3人ではなく、5、6人で整備していくでしょう。リリーフのピッチャーはベンチに6人入るのですが、当時は勝ちパターンで登板させるのが3人、ビハインドの展開が3人というように分けていました。来年はおそらく6人のうちのひとりぐらいをロングリリーフ要員にして、残りの5人でやり繰りするんだろうと予想しています。

――7、8、9回、それぞれの回に登板させるピッチャーを固定する必要はないということでしょうか。

関本 固定するとすれば、9回の湯浅京己投手だけ。例えばヤクルト戦の場合、村上宗隆選手に打席が回るのが7回なのか8回なのかで岩崎投手の出しどころが変わってくるので、そこは固める必要はないんじゃないかなと。9回の湯浅につなぐために、残りのピッチャーをどうやりくりするかだと思います。

――岡田監督はそのあたりのやり繰りに長けている?

関本 長けていますね。ただ、1年間を5、6人で回すことは不可能ですし、二軍との入れ替えもあります。もしかしたら、岩崎投手が離脱することだって考えられる。3連投するピッチャーもいれば、中2日空いているピッチャーもいたりするでしょうし、誰かを休ませないといけない日もある......そういうことを考えると、何がなんでも7回がこのピッチャー、8回がこのピッチャーみたいにしてしまうと、いずれ歪みが生じてくるんです。

 阪神のリリーフ陣は、リードしている展開でもビハインドの展開でも投げるピッチャーの力量がそんなに変わらない。そういうことも含めて、固めないでいくんじゃないかと見ています。

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