鶴岡慎也がマスク越しに驚いた大谷翔平など強打者5人。「ヒットを打つ天才」「これが首位打者のスイング軌道か...」 (2ページ目)
内川聖一(横浜→ソフトバンク→ヤクルト)
内川聖一選手は2008年に横浜で打率.378という右打者として最高打率をマークし、2011年にソフトバンクに移籍して、史上2人目の両リーグ首位打者を達成しました。僕が日本ハムに在籍時は敵として戦い、ソフトバンクに移籍してからは味方として過ごしました。
キャッチャーから見た内川選手は、どこを攻めてもバットの芯でとらえてくるバッターでした。なにより驚いたのが右打ちのうまさです。たとえば走者一塁で、バッテリーとしてはライトに運ばれて一、三塁にはしたくない場面。インコースを厳しく攻めても、ボール気味のアウトコースに投げても、図ったかのようにライト前に持っていきます。バットに角度をつける技術、腰を回転させる体のコントロール。それをマスク越しに感じましたね。
外角高めが得意なコースだったと思うのですが、打率を残すために狙い球を変える。チャンスメーカーにも、つなぎ役にも、ポイントゲッターにもなれる強打者でした。
ソフトバンク時代、同じ右打者としてアドバイスをもらったことがあります。内川選手の打撃理論はすごくシンプルで、左足をステップする始動を早くして、バットを最短距離で出す。頭では理解できるのですが、実際にやるとなると簡単ではありません。私のなかで内川選手は「ヒットを打つ天才」「バットコントロールの天才」でした。
中村剛也(西武)
内川聖一選手がヒットを打つ天才なら、中村剛也選手はホームランを打つ天才です。長嶋茂雄さんの記録を抜き、歴代14位の本塁打数(454本)を放っている中村選手。この数字は、もちろん現役選手最多です。
一方で、通算1990三振は歴代トップです。中村選手の場合、ホームランを打っても、ヒットを打っても、三振をしても、すべて同じスイングです。つまり、変化球でも決して合わせにきません。
スライダーを完全に読まれて打たれる時もあれば、絶好調でも簡単に三振する時もあります。バッテリーとしては「三振だったけど、もう1個分ボールが高かったら危なかった」という怖さが常にあります。中村選手は"割り切り"ができるバッターです。僕もかなりの本塁打を献上しているのではないでしょうか(笑)。
それに軽く振っているように見えるかもしれませんが、実際はものすごくスイングスピードが速いんです。そのうえ、バットにボールを乗せるのがうまいので打球が飛ぶんです。
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