「ヤクルトにとって痛恨だったのは中川圭太の四球」。オリックスが日本一を決めた第7戦の勝負の分かれ目を大友進が指摘 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

 一方、杉本選手は第4、6戦でオリックスに勝利を呼び込むタイムリーを放ち、今シリーズのMVPに輝きました。

 杉本選手はシリーズ序盤、ヤクルトバッテリーの執拗なインコース攻めに苦しみ、第3戦では打順を7番に下げましたが、それでも相手の厳しい攻めに怯むことなく踏み込んでいった。あれだけインコースを攻められ続けたら、普通は体を開いて打ちにいきたくなるものですが、我慢して自分のバッティングを貫いた杉本選手の勝ちだったということです。

 またオリックスの勝因としては、強力なリリーフ陣の奮闘が光りました。2、4、5戦で中嶋聡監督が先発投手を5回で代えたのは、それだけブルペンへの信頼度が高い証拠です。第5戦では宇田川投手、山﨑颯一郎投手をブルペンから外しましたが、先を見据えた戦いがズバリ当たりました。

 先発ピッチャーも含め、投手力の高いオリックスに対し、ヤクルトはよく対応したと思います。戦い方自体は間違っていなかったですが、第6、7戦ではバント処理など、守備で当たり前のプレーができず失点につながりました。取れるアウトをしっかり取っていれば、勝敗も変わってきたはずです。

 オリックスとヤクルトとの間には、それくらいのわずかな差しかありませんでした。両チームの力が拮抗し、最後の最後までどちらが勝つかわかりませんでした。ハイレベルな攻防や駆け引きが続き、本当に面白い7試合でした。

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