プロ野球「投高打低」の原因を清水直行が分析。ピッチャーの進化や「野球人口減少」の影響にまで言及した (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

「昔はしっかり投げられる子がピッチャーになって、それ以外の子は野手をやる、ということが多かった。ピッチャーになった子も、ライバルが多いから早く結果を出す必要がありました。でも、指導者の考え方にもよるでしょうけど、今はライバルが減った分だけピッチャーを続けられるチャンスは増える。その中で自分のピッチングを追求し、必要な専門性の高いトレーニングに取り組むことができるようになったと思います。

 近年、投げる動作をスムーズにしたり、球速をアップさせるために必要なことの解析はかなり進んで、それをYouTubeなどで手軽に入手できる。指導者側も、『このピッチャーは球速がアップする要素があるから、まずはそこを磨こう』といった育て方が多くなってきていると思います。高校生の段階で、すでに体が出来上がっている選手も多いですしね」

 150km以上のボールを投げるピッチャーも増加傾向にあるが、それもさまざまな理由が考えられるようだ。では、投高打低の傾向はこのまま強まっていくのか。清水氏は佐々木朗希の例を挙げながら、バッターの慣れと"サイクル"についてこう語った。

「150km以上の球を投げるピッチャーが増えていくにつれて、そういった球を簡単に打ち返すバッターも増加してきています。先に進化したのがピッチャーだとしても、バッターもそれに慣れて対応できるようになる。今年も、佐々木の160kmの球に最初は手が出なかったバッターたちが、徐々にアジャストしていきましたよね。
 
 バッターがよりエース級のピッチャーの球に慣れて、来年は『打高投低』になっているかもしれませんし、そうなればまたピッチャーも進化していく。そういったサイクルがありますから、『投高打低』の傾向が続くとは限らないと思いますよ」

◆清水直行さんのYouTubeチャンネル
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