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プロ野球「投高打低」の原因を清水直行が分析。ピッチャーの進化や「野球人口減少」の影響にまで言及した (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

 清水氏はピッチャーのレベルアップの他に、投高打低になった要因のひとつとして新型コロナウイルスの影響を挙げた。

「今年に限ったことではありませんが、新型コロナウイルスの感染が拡大した球団が、多くの選手を入れ替えざるをえなかったことも一因だと個人的には思います。例えばバッターが10日間くらい離脱したあと、復帰してすぐに離脱前のパフォーマンスを出せるのか、ピッチャーの生きた球にすぐに対応できるのか、というと難しい。バッターは"対応する側"ですからね。ピッチャーの場合は自分でいかに調整するかが最も大事ですから、離脱期間が長くてもパフォーマンスを取り戻すのはバッターより早い印象です。

 また、入れ替えで一軍に上がってきた選手の中には、二軍で実績を残していた選手ではなく、人数を合わせるために昇格させなきゃいけない選手もいたでしょう。ノーヒットノーランが達成された試合などでは、そういった選手の実力差も少なからず影響したと思います」

 選手の実力差という点は、コロナ禍という不測の事態だけでなく、昨今の"野球人口の減少"も間接的な原因になっていると語る。

「僕らの子供の頃は地域に少年野球チームが溢れていて、人数が多い分競争も激しかった。『今は人数が減って競争が激しくないからうまい子が出てこない』とは言いきれませんが、そこまで実力が上がらないうちにスタメンで出られるチャンスがあると、その後の成長にも影響があるはず。能力や技術が高い子は一定数いますけど、そうでない子との差がより大きくなっているように感じます。

 野球人口が減っているということは、プロ野球選手になれる確率は上がっているということ。NPBの昔の支配下登録選手の人数も、各球団60人で計720人が上限でしたが、今は一球団最大70人に増え、育成枠もあって3軍を持つチームも出てきました。さらに、大学で声がかからなかったら独立リーグに行くなど、プロになるための道も広がりましたよね。そういったこともあって、チーム内にさまざまな実力の選手が混在することも起こるようになったと思います」

 さらに清水氏は、競争の少なさがピッチャーの成長という部分ではプラスになっている部分もあると指摘する。

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