プロ野球「投高打低」の原因を清水直行が分析。ピッチャーの進化や「野球人口減少」の影響にまで言及した
今季は4月にロッテの佐々木朗希が完全試合を達成したほか、4人の投手がノーヒットノーランを達成するなど「投高打低」が目立つシーズンになった。
今年4月に完全試合を達成したロッテの佐々木朗希この記事に関連する写真を見る 現役時代にロッテのエースとして活躍した清水直行氏は、その要因としてまず「見たことがないような球を投げる持つピッチャーの出現」を挙げる。
「バッターもいろいろなデータを参考にして対策を練りますが、今までの数値が参考にならないような球を投げるピッチャーが増え、対応できなくなっていることは確かです。佐々木朗希のフォーク(被打率.111、奪空振率28.6%)や山本由伸のフォーク(被打率.152、奪空振率25.1%)が顕著な例ですね。両ピッチャーともフォークの平均球速が140km台中盤、時には140km台後半も出る。そんな球を投げるピッチャーはほとんどいませんでしたし、打つのに苦労するのも当然ですね」
圧倒的な決め球を持つピッチャー相手に追い込まれると、たちまち苦しくなる。それに対応するため、「バッターは早打ちの傾向が強くなっている」と清水氏は指摘する。
「ボールを見ていこうというよりも、早いカウントで勝負するバッターが増えた印象があります。早いカウントのほうが、甘い球がくる確率が高いですから。ただ、早打ちの戦略でアウトが続いてしまうと、球数が少なくなってますますピッチャーが有利になる。今年はそういう試合が多かったように思います」
また、ピッチャーの技術向上を後押ししているのが、弾道測定器「トラックマン」の導入だ。投球のデータとして、ボールの回転数や回転軸などが数値化されるため、投球フォームを合理的に改善するといったことを後押ししている。
「トラックマンは打者の数値も出ますが、より数値を成長につなげやすいのはピッチャー側なんじゃないかと思います。それまでのピッチャーは、自分の投げる球について知らないことも多かったはず。球質の重い、軽いといったこともイメージや雰囲気だったところが、数値でわかることによって取り組むべきことがハッキリわかるようになったんじゃないかと。『回転数が少ない』となれば、それを向上させるトレーニングを重点的にやる、といった感じですね」
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