「もう我慢の限界だ」指揮官からの手紙に発奮も...阪神の救世主となった野田浩司にまさかのトレード通告 (2ページ目)
試合後、中村監督は「野田がようやく、孝行してくれたよ。今後の大きな戦力になる。連敗中はずっと、去年の悪い時のことを思い出していたよ」と言った。実際、野田は「大きな戦力」となり、次の7月15日、ヤクルト戦は5安打2四球11奪三振で9回を無失点に抑え、2試合連続の完封勝利。チームは前半戦を勝ち越して折り返すことが決まった。
「その試合が終わったあとでした。中村さんからまた手紙をもらって、お金ももらいました(笑)。監督賞ですね。手紙には<ありがとう>って書いてあった。温厚そうに見えて、けっこうきついところもある方でしたけど、あの年はそんなことがありましたね」
4連続完投勝利で月間MVP
球宴明け、7月25日の中日戦。先発した野田は7安打4奪三振2四球1失点という内容で完投勝利。大石コーチは試合後「フォークでいくと見せかけて真っすぐとか、抜いた球もうまく使うなど工夫したピッチングだった。彼には厳しい言葉を言い続けてきたが、やっと『困ったらフォーク』という姿から脱却してくれた」と言って称えた。
さらに7月31日、横浜大洋戦は5安打5奪三振1四球で完封。これで野田は4試合連続完投勝利となり、阪神では山本和行(81年)以来。また月間3完封も記録し、阪神では江夏豊(73年)以来だった。
3連続完投勝利の時点で、月間MVPが見えていた。それだけに野田は31日の試合前、大石コーチから「仲田(幸司)も湯舟(敏郎)も獲ったんだから、おまえも獲れよ」とプレッシャーをかけられていた。仲田は4月、湯舟は6月に月間MVPを受賞していた。
「月間MVPについては、大石さんがコーチ会議で言ってくれたそうなんです。『なんとか野田に獲らせてくれ』って。ちょっとまだ僕との関係はギクシャクしてたんだけどね(笑)。それはともかく、4連続完投の時は本当に調子がよくて、心技体とも充実していました。でも、その時に比べたら、8月、9月は調子を落としていたんです」
2 / 4