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野村克也と落合博満が交流戦中に行なっていた極秘会談「なんでワシと話したがるんや?」「ノムさんしか野球をわかる人いないじゃない」 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

正反対のマスコミ対応

 野村さんはよく「ワシは閑古鳥が鳴くパ・リーグ、南海というチームで育った。新聞にも取り上げてもらえないから、見出しになるような言葉を考えて、新聞記者に売り込んだものだ」と言っていました。

 だから試合前、ダグアウトで記者に囲まれるとうれしそうでした。新聞やテレビを通じて自軍の選手を褒めたり、奮起を促したり、また対戦相手を牽制したり、マスコミを積極的に利用していました。

 1995年のオリックスとの日本シリーズはその最たるもので、イチローに対して「インコースを攻める」と言っておきながら、実際は外角攻めで封じ、日本一を果たしました。

 一方で落合さんはチームの機密情報の流出を恐れ、ほとんどマスコミにコメントを出しませんでした。それこそ野村さんは落合さんにこう言っていたそうです。

「スポーツビジネス的にプロ野球の成り立ち(親会社に新聞社が多い)を考えても、周囲は監督の言葉を欲している。だから記者に話してあげなさいよ。それも監督の仕事のひとつだよ」

 このように、落合さんはあまりしゃべらない人と思われているかもしれませんが、選手には普通に接してくれましたし、よく話をしてくれました。一度、落合さんとこんなやりとりがありました。

「落合監督、現役時代の"神主打法"ですが、左足を開いて、なんでライトスタンドに持っていけるのですか。自分には理解できないです」

「右足で押し込むんだよ。右打者は左足が開かないと打てないんだよ。だけど、左足は開いても左肩の壁は崩れていない。最後は右足で押し込むんだ」

 こっちが聞けばなんでも答えてくれる監督でした。ただ、機密情報の管理だけは徹底していましたね。

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