過去の敗戦から見る大阪桐蔭の弱点。この夏、絶対王者の牙城を崩すのはこの8校だ! (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Kyodo News

 問題は難敵の多いブロックに入ったこと。好投手・冨田の鳴門、最速150キロ右腕・田中晴也を擁する日本文理、チーム力のある山梨学院らがおり、大阪桐蔭を前にして山田が疲弊してしまう恐れがある。打倒・大阪桐蔭のためには、打線の奮起と2番手以降の投手の踏ん張りが不可欠だ。

好左腕擁する不気味な5校

 昨秋の明治神宮大会4強、センバツ8強と安定した実力を持つ九州国際大付(福岡)も神宮大会準決勝で大阪桐蔭に2対9と7回コールド負け。甲子園でのリベンジを狙う。黒田義信、野田海人、センバツでは花巻東・佐々木麟太郎、広陵・真鍋慧と並んで"2年生のビッグ3"と騒がれた佐倉侠史朗と並ぶクリーンアップは強力。佐倉は春以降打撃フォームを見直し、福岡大会で3本塁打を放った。

 福岡大会では2年生右腕の池田悠舞が好投したが、打倒・大阪桐蔭にはセンバツで2勝を挙げた左腕・香西一希の力が必要。球速こそ120キロ台だが、スライダー、チェンジアップを内外角に投げ分け、見た目以上に打ちづらいのが特長だ。春の九州大会で足を負傷し、福岡大会ではコロナに感染し5回戦以降を欠場するなど体調面に不安が残るが、香西が復調しなければ大阪桐蔭と戦えないと言っても過言ではない。

 明秀日立(茨城)も打倒・大阪桐蔭に燃える。カギを握るのは、4番で主将を務める石川ケニー。左腕投手として140キロの速球を持ち、空振りを奪うスライダーもある。春までは大舞台での登板経験が少なかったが、茨城大会決勝ではピンチでライトから2度マウンドに上がり、いずれも三振で切り抜けるなど自信をつけた。また、茨城大会決勝でサヨナラ本塁打を放った佐藤光成、打率.625を記録した本坊匠らチーム打率.404、6本塁打をマークした強力打線を擁し、「今年こそ」の思いは強い。

 このほかには、最速145キロの左腕・古川翼を擁する仙台育英(宮城)、最速145キロをマークする左腕・古賀康誠と146キロ右腕の仲井慎とで二枚看板を形成する下関国際(山口)、140キロ左腕の渡辺和大と今大会ナンバーワンスラッガー・浅野翔吾と投打の主軸がしっかりしている高松商(香川)も力を秘める。

 大阪桐蔭が3度目の春夏連覇を達成するのか。それとも絶対王者を破るチームが出てくるのか。夏の甲子園は8月6日、開幕する。

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