ヤクルト髙津臣吾と野村克也の采配の違い。八重樫幸雄が選手起用など監督としての能力を絶賛 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

投手陣の底上げは伊藤智仁コーチとの二人三脚

――前半戦は独走状態を続けて交流戦でも優勝を飾り、7月に一度はマジックが点灯。一方、新型コロナウイルス感染による選手の大量離脱にも見舞われました。ここまでのヤクルトの戦いをどのように見ていますか?

八重樫 コロナによる大量離脱には驚いたけど、そこに至るまでに多くの白星を積み重ねていて、貯金も20個以上あるし、2位とのゲーム差も10ゲーム以上も開いています(7月24日時点)。昨年の日本一のメンバーがほぼ健在なのに加えて、若手の台頭もある。本当にいいチーム状態のまま、夏場を迎えていると思いますね。

――若手でいえば、長岡秀樹選手、内山壮真捕手が目立っています。コロナによる大量離脱時には武岡龍世選手もブレイクの兆しを見せました。

八重樫 特に長岡については、ここまで頑張れるとは思わなかったですね。コロナで離脱するまではずっとスタメンでショートを守っていた。守備もどんどん上達していたし、何よりもバッティングにも光るものがありました。あと、若手というよりは中堅になるけど、山崎晃大朗も渋い働きを見せてくれたのが印象に残っているな。

――これだけの若手が台頭する秘訣はどこにあると思いますか?

八重樫 僕が二軍監督時代に意識していたのは、「若手にはなるべくプレッシャーを与えずにのびのびプレーさせることがすごく大切だ」ということ。髙津も二軍監督経験者だから、その点は強く意識していると思いますね。絶対にプレッシャーを与えることもなく、何も言わずに見守っていたり、「楽しんでこい」「ちょっと遊んでこい」と軽く声をかけたりしてリラックスさせているんじゃないかな?

――ヤクルトは長年にわたって「投手陣が課題だ」と言われ続けていましたが、中継ぎ陣の層の厚さも含めて、短期間でかなり再編されたように思います。

八重樫 ピッチャーに関しては「トモ(伊藤智仁ピッチングコーチ)に任せつつ、話し合いをしている」と聞いたことがあるけど、トモもプレッシャーを与えないように無理な要求はしていないと思うんです。トモの性格上、「お前はこのボールがいいんだから、これをもっと伸ばせ」とか、「球種をひとつ増やせないか?」とか、その選手に合った指導法をしているのが、全体的に底上げできた要因だと僕は思っています。

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