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ヤクルト髙津臣吾と野村克也の采配の違い。八重樫幸雄が選手起用など監督としての能力を絶賛

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

八重樫幸雄のヤクルト前半戦総括 後編
髙津臣吾監督の采配について

【前編】村上宗隆が三冠王を獲る確率は「70パーセント」>>

勝敗と育成を両立させる髙津采配

――就任3年目を迎え、髙津臣吾監督率いる東京ヤクルトスワローズが首位を快走しています。まずは、ここまでの「髙津采配」をどのようにご覧になっていますか?

八重樫 二軍監督時代から「育成を重視する」と言っていたけど、一軍監督になってからもその姿勢は変わらずに、「勝敗と育成の両立」を目指しているように見受けられます。実際に、それが成功しているのが今年のヤクルトだと思いますね。この点は野村克也監督とはちょっと違う気がするな。

野村克也氏(左)と話をするヤクルトコーチ時代の高津監督(右)野村克也氏(左)と話をするヤクルトコーチ時代の高津監督(右)この記事に関連する写真を見る――まさに、その点も伺いたかったのですが、髙津監督は野村元監督を尊敬している発言をされています。野村監督との共通点、相違点などあれば教えていただけますか?

八重樫 野村さんの場合は、どちらかというとベテランを大事にして、その上で「若手が出てくればいいな」というスタンスでした。ところが、髙津の場合は「ベテランよりも若手」という姿勢が目立っていますよね。多少の失敗は織り込み済みで、数年先を見据えて若手に経験を積ませている。この点は野村監督と大きく違う点です。

――野村さんがヤクルトの監督に就任した頃は、まさに「左の杉浦享、右の八重樫幸雄」と左右の両ベテラン打者を重用していましたね。

八重樫 現在のヤクルトでは、坂口智隆、内川聖一、嶋基宏らベテランがベンチを温めているケースが多いですが、彼らは不平不満を言うタイプではない。髙津も「出場機会は減るかもしれないけれど、ここぞという時に頼りにしているぞ」と、彼らに対してもきちんとケアをしていると思います。

――坂口、内川、嶋選手はいずれも他球団からの移籍組です。なおさら、気を遣っているのではないでしょうか。

八重樫 かなり気を遣っていると思いますよ。髙津自身もアメリカでプレーしたし、韓国、台湾、日本の独立リーグと、いろいろなチームに在籍した経験があるからこそ、移籍選手たちの気持ちには敏感だと思いますね。そもそも、彼らベテラン選手たちも「オレも出たい」という思いを持ちながら、きちんとチーム事情や監督の考えを理解している選手ばかりだと思いますよ。そうでなければ、ここまで長く現役生活を続けることはできない。その点は心配ないでしょう。

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