ヤクルト村上宗隆の三冠王の確率は「70パーセント」。八重樫幸雄が好調の理由を徹底分析
八重樫幸雄のヤクルト前半戦総括 前編
4番・村上宗隆について
村上の好調のカギは「両肩のライン」にある!
――プロ5年目を迎えて村上宗隆選手はさらなる進化を遂げ、三冠王を狙える成績を残しています。今年の村上選手について、八重樫さんはどのように見ていますか?
八重樫 今年、すごく印象的なのが打席でのバッティングフォームなんです。昨年までと比べると、肩のラインがちょっと低くなっている。それが、現在の好成績に結びついていると思うんですよね。
7月20日の巨人戦で特大のスリーランを放ち、ベンチに向かって右手を上げる村上この記事に関連する写真を見る――グリップの位置が下がったということですか?
八重樫 いや、グリップの位置じゃなくて、両肩のライン。極端に言えば、昨年までは高い位置でバットを構えていたので、両肩が上がって余計な力が入っているように見えました。でも、今年は肩のラインが下がったことで、バットの軌道が落ちたり、変な形でスイングすることが目に見えて減った。そこが、昨年までとの大きな違いだと思います。
――肩のラインを下げたことのメリットは何ですか?
八重樫 スイングの際の上下動が少なくなったことで、おそらく自分の目でボールを見ている感覚と、実際のボールの軌道とのブレが少なくなったんだと思います。それに、肩の力が抜けているから、ちょうどいいタイミングで止まることもできるし、フォアボールも多い。ここまで打率3割をキープしているけど、今シーズンは長期の不振がないでしょ? 高いアベレージがキープできれば、三冠王の可能性はグッと高まると思いますね。
――現時点で四球数も、出塁率もリーグダントツでトップですね(7月24日時点で75個。2位の巨人・丸佳浩は50個)
八重樫 村上が三冠王を狙うとすれば、打率が一番のポイントになります。打率を下げないためには、「いかにフォアボールを選ぶか?」がポイントになる。何でもかんでも打とうと思わないで、「まずはフォアボールを増やそう」という意識があれば問題ないでしょう。
――現状、それはきちんとできているのではないですか?
八重樫 できていると思いますね。巨人にしても広島にしても、村上に対して徹底的なインコース攻めをして「村上封じ」をしているけれど、それでも彼は無駄球を振ろうとしない。その姿勢は本当にすばらしいです。
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